祝・国民栄誉賞。謎めいた伊調馨の人柄がわかる「3つのキーワード」 (2ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by JMPA

 目指すのは、「今よりずっと高い技術力があり、偶然とか力ずくではなく、試合前にイメージしたとおりの展開になり、攻めるにしても、守るにしても、すべてが理にかなっている、説明のできるレスリング」。

 そのため、「勝負」より「技術」を追うようになり、目標とするレスリングができなければ、世界選手権で優勝しても満足せず、自己採点は「45点」や「25点」。ロンドンでオリンピック3連覇したときですら、「甘く見て、70点。まだまだ技術不足。もっと技を出さなければいけなかったし、質が悪い」。さらに、決勝戦で残り30秒から大逆転したリオでの戦いは、「最悪の5点。金メダルを獲れたことを足しても30点」と厳しく、試合後の会見でも、「できるなら、同じ相手ともう一度勝負し直したい」と悔やんでいる。

 そして、「東京でオリンピックをやるのは、なかなかない。挑戦してみたい気持ちはある」と意欲をのぞかせながらも、近ごろは、「レスリングはやめたくない。やりたい、健康体ならいつまでも。でも、いつかはやめなければならないから、コーチになってレスリングを追求するというのもいいかなと思っています」と発言している。

 ふたつ目は、「感謝」。

 国民栄誉賞受賞の会見で、「この受賞を今、一番に伝えたい人は?」と問われた伊調は、次にように語った。

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