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【箱根駅伝2026】例年とはひと味違う青学大4年生 主将・黒田朝日を軸に寮長・佐藤有一、主務・徳澄遼仁らが醸し出す空気感とは――

  • 生島 淳●取材・文 text by Ikushima Jun

最終学年で力をつけ、箱根のメンバー16人に名を連ねた青学大・佐藤有一 photo by 千葉格/アフロ最終学年で力をつけ、箱根のメンバー16人に名を連ねた青学大・佐藤有一 photo by 千葉格/アフロ

後編:青山学院大、9度目の総合優勝へのシナリオ

黒田朝日(4年)はエースとしてはもちろん、主将としても頼りになる存在としてこの1年、青山学院大を引っ張り続けてきた。同時に青学大の強さの礎において重要な役割を務める寮長の佐藤有一、主務・徳澄遼仁もまた、自身のカラーを出しながら、チームを盛り上げてきた。

ただ、その空気感は例年とは少し異なる趣に。今季の青学大の最上級生たちはどのようなケミストリーを醸し出しているのか。

前編〉〉〉黒田朝日の圧倒的強さとメンバーの経験不足――青学大はいかにして戦うのか?

【苦労した主将が続くなかで......】

「自分は言葉というよりも、走りでチームを引っ張っていくスタイルになると思うので、練習からしっかりとした走りを見せたいと思います」

 青山学院大、2025年度のキャプテンは黒田朝日(4年)。練習では先頭、そしてトラックレースではしっかりとした結果を残し、駅伝ではチームを上位へと押し上げる。これだけ頼りになるキャプテンは、滅多に登場しない。

 同級生でもある徳澄遼仁主務は、「今年は黒田が走りだけでなく、言葉でもチームを引っ張ってくれました」と振り返る。それを黒田に伝えると、これまた淡々と答えてくれた。

「全日本が終わってから、みんなに対して『箱根を意識して走っていこう』とは話をしていました。でも、12月に入ってからは、みんなが、自分が箱根を走るという意識を持って練習に取り組んでいるのを感じたので、心配していません。メンバーを信頼しています」

 振り返ってみると、過去5回、青学大のキャプテンは苦労を強いられてきた。

 コロナ禍の真っ只中にあった2021年の箱根駅伝、キャプテンの神林勇太は12月に入ってから下半身に故障が出て、箱根を走ることができなかった。原晋監督は年末のミーティングで「神林に走ってほしい。もし、棄権することになっても、予選会から出直したっていいと思っている」とまで言った。そして神林本人が、監督を止めた。

 唯一の例外は、2022年のキャプテンの飯田貴之だろう。4年連続で箱根を走った実力を持ち、「4年間のすべてのポイント練習の内容を覚えています」と、語る理と知に富むキャプテンは、4区を走って総合優勝に貢献した。

 そして2023年は宮坂大器。近藤幸太郎、横田俊吾、岸本大紀らの実力者たちがそろった学年だったが、宮坂本人は箱根本選のメンバーに入れなかった。チームも山で失速し、総合3位に終わった。

 そして2024年のキャプテン志貴勇斗も故障に苦しみ、出走ならず。それでも佐藤一世や、後輩たちの活躍によって総合優勝を奪還した。

 昨年度は田中悠登がキャプテンとなり、アナウンサーになったことからもわかるように、言葉の力でチームを引っ張ったが、田中も故障に苦しんだ。3年生の箱根駅伝を前に故障。それが長引き、トラックシーズンは苦しんだ。それでも駅伝シーズンに入って盛り返すと、全日本大学駅伝を一本走り、箱根では9区を走って区間2位。ようやくキャプテンとしての走りを見せ、卒業していった。

 山あり谷あり。

 こうして青学大の歴代のキャプテンを見てくると、故障に苦しんだ選手が多く、黒田のように順調な競技生活を送っている選手は本当に少ない。

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著者プロフィール

  • 生島 淳

    生島 淳 (いくしま・じゅん)

    スポーツジャーナリスト。1967年宮城県気仙沼市生まれ。早稲田大学卒業後、博報堂に入社。勤務しながら執筆を始め、1999年に独立。ラグビーW杯、五輪ともに7度の取材経験を誇る一方、歌舞伎、講談では神田伯山など、伝統芸能の原稿も手掛ける。最新刊に「箱根駅伝に魅せられて」(角川新書)。その他に「箱根駅伝ナイン・ストーリーズ」(文春文庫)、「エディー・ジョーンズとの対話 コーチングとは信じること」(文藝春秋)など。Xアカウント @meganedo

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