【欧州サッカー】イブラヒモヴィッチが残した名言は、世界を正しい方向に導く説得力にあふれていた
世界に魔法をかけたフットボール・ヒーローズ
【第57回】ズラタン・イブラヒモヴィッチ(スウェーデン)
サッカーシーンには突如として、たったひとつのプレーでファンの心を鷲掴みにする選手が現れる。選ばれし者にしかできない「魔法をかけた」瞬間だ。世界を魅了した古今東西のフットボール・ヒーローたちを、『ワールドサッカーダイジェスト』初代編集長の粕谷秀樹氏が紹介する。
第57回はスウェーデン史上最高のFWズラタン・イブラヒモヴィッチを取り上げる。欧州各国のビッグクラブを渡り歩き、数々のチームを頂点に導いた優勝請負人は、たとえ周囲から嫌われようとも己を貫いた。自らのことを「王」と名乗っても、まったく違和感のない存在だった。
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ズラタン・イブラヒモヴィッチ/1981年10月3日生まれ、スウェーデン・マルメ出身 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る 2016年夏、ひとりの男がマンチェスター・ユナイテッドにやってきた。
「俺は王として到来し、王として去る」
そう名言を残して5月にパリ・サンジェルマンを去ったあと、彼はイングランドの悩める名門クラブを新天地に選んだ。
ズラタン・イブラヒモヴィッチである。
当時、すでに35歳。ピークは過ぎていた。だが、独特の"ぎらつき"で他を圧倒し、プレミアリーグ1年目にして公式戦46試合で28ゴールをマーク。マンチェスター・ユナイテッドにリーグカップとヨーロッパリーグをもたらした。
あと10年、いや5年ほど早く移籍していれば...いやいや、「荒ぶる」イブラヒモヴィッチのことだ。「生来の頑固者」アレックス・ファーガソン監督との衝突は避けられなかったに違いない。
何しろ6年前、バルセロナでプレーしていた2009-10シーズンのチャンピオンズリーグ準決勝(インテル戦)で敗退後、後半早々に自身をベンチに下げたジョゼップ・グアルディオラ監督に対して「地獄に堕ちやがれ!」と罵倒した男である。
ミランに所属していた2010-11シーズンは、インテルのマルコ・マテラッツィにジャンボ鶴田を彷彿とさせるフライングニーを入れて、相手を病院送りにするほどだった。
「あの男には危険すぎるタックルを食らったからな。このチャンスを待っていた」(イブラヒモヴィッチ)
感情の抑えがきかず、あまりにも攻撃的すぎる性格によって、周囲からは「厄介者」のレッテルも貼られた。データサイト『transfermarkt』 によると、126枚のイエローカードと10回の一発レッドカードを記録している。
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著者プロフィール

粕谷秀樹 (かすや・ひでき)
1958年、東京・下北沢生まれ。出版社勤務を経て、2001年
、フリーランスに転身。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、 海外サッカー情報番組のコメンテイターを務めるとともに、コラム 、エッセイも執筆。著書に『プレミアリーグ観戦レシピ』(東邦出 版)、責任編集では「サッカーのある街」(ベースボールマガジン 社)など多数。
























