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【欧州サッカー】イブラヒモヴィッチが残した名言は、世界を正しい方向に導く説得力にあふれていた (3ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Hideki Kasuya

【語り継がれる名言の数々】

 また、イブラヒモヴィッチが多くの大衆に支持されている理由のひとつに、数々の名言が挙げられるだろう。

 冒頭の「俺は王として──」のほかにも、各国の政府のスピーチライターが唸るような名フレーズは少なくない。

「インテルと俺を批判し続けた貴様らメディアに、この勝利を捧げる」
「俺には素質がある。努力さえ怠らなければ超一流になれる」
「俺は乱暴者だが筋は通す」
「人間はもともとみんな違う。普通じゃなくたっていいじゃねえか」
「ライオンは己と人間を比べない」
「俺が出場しないワールドカップなど見る価値はない」

 自己肯定感が強すぎる。大言壮語、不遜であり、他人との競争を差別的と考える現代社会では"黒塗り"にされかねない表現もある。

 しかし、自らに設定したハードルが高く、その次元を乗り越えた者だけが許される上質のフレーズとも考えられなくはないか。

 いわれなき中傷にあらがい、自分自身とクラブを守った。単なる素質だけで20年以上もトップランクを維持できるはずがなく、ラフファイターであってもサポーターに対しては常に真摯に向き合っていた。人それぞれ生き方、考え方は異なり、イブラヒモヴィッチのパフォーマンスには一見の価値がある。

 周りに何を言われようが、自分を信じる強さと自信を持つことが人生の肝(きも)である。彼は多くの悩める者にメッセージを送っていたのかもしれない。だからこそ名言として語り継がれ、人々の胸に深く刻み込まれているのだ。

 リオネル・メッシのようにテクニカルでもなければ、クリスティアーノ・ロナウドのように自己管理にも長けていない。聖人君子? そんなもの、知ったこっちゃない。ただ、「生身の人間」を熱く感じられるのは、間違いなくイブラヒモヴィッチだ。

 近ごろ、優等生が増えてきた。バッドボーイと称されても、しょせんは対戦相手やサポーター、メディアに悪態をつく程度のチンピラにすぎない。

 イブラヒモヴィッチは時に権力と、時に時代と戦ってきた。孤立無援だとしても、信念を曲げなかった。路線から外れると煙たがられ、情報操作によって排除されそうになっても、そのたびに力強く蘇ってきた。

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