【男子バレー】西田有志が日本代表に帰ってきた 新たな境地で迎えるネーションズリーグ (3ページ目)
【「試合で考えるなら練習からやれよ」】
シーズン前、西田はサーブの極意について語っていた。
「自分の場合、(サーブは)ボールを芯で捉えるようにしていますね。芯を捉えるとボールは回転せず、無回転になって、狙ったコースに入ってから変化するんです。回転、無回転、を考えた時、自分は回転がかかっていないほうが(球が)重いなって。サッカーも無回転シュートがキーパーの手も弾いて入っちゃうというシーンを見ますし、その理屈を考えたら......」
それが、彼のサーブが立て続けに決まった理由か。無回転は半ば魔球である。本人にすら、どう変化するかわからない。空気との抵抗圧により生み出される変化で、いわば運に左右されるわけだが、そこに辿り着くのにも相当の修練が必要になる。
「自分のなかでバレーは楽しむのが第一ですが、この試合(チャンピオンシップファイナル)くらいは勝ちにこだわることをしたほうがいいかなと思って」
西田は不敵に語っていたが、まさに勝利のためだけにギアを上げた時、独走する疾走感があった。
6月からの代表シーズン、ネーションズリーグを戦ったあとにはロサンゼルス五輪アジア予選が待っている。はたして、新たな境地に達した西田がどんな暴れ方をするのか。彼自身が誰よりもその光景を楽しみにしているはずだ。
「試合では、思われているほど複雑に考えていない。練習の時にこそ、複雑に考える。"いろいろ考えるなら練習からやれよ"って」
それが西田流だ。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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