【男子バレー】髙橋藍が語る「敗北からの再起」 日本代表の復活へネーションズリーグ開幕 (3ページ目)
【チャンピオンシップの敗戦も糧に】
「負けてしまって......それが僕としてもすべてです。結果がすべて」
試合後の会見で髙橋は珍しく訥々と語った。
「最後のところで、勝つことができませんでした。それは悔しくて......ただ、自分自身のバレー人生、これまでも負けることで成長することができました。勝つために何が必要なのか。敗者だからこそ、学べるポイントが必ずあります。自分としてひとつ言えるのは、"この悔しさを受け止めて次の勝負に向かう"ということですね」
髙橋は言葉を紡ぎながら、次第に語調に確信を漲らせた。そこに暗さや粘り気はない。敗北をも吸収し、それを燃料にする準備を始めていた。
たとえば中学時代、髙橋は身長が伸びずにリベロをやっていたが、そこで鍛えたレシーブ感覚を今に生かしている。高校時代も1、2年と春高は京都府予選で敗れ、全国大会に勝ち進めなかったが、3年で壁を突き破ると全国制覇を実現した。彼にとって、逆境=起爆装置なのだ。
「負けず嫌いに関しては、生まれつきなのかって思います。僕は何に対しても負けるのが嫌なんです。できないところを家族にすら見せたくない。できないことは人前でやらず、陰でやってできるようになってから人前で見せるほどで。すごくプライドが高いし、負けず嫌いで、弱い部分を人に見せたくない」
髙橋は気高く言う。彼はこの1年を通じ、敗北から再起することで、逞しい成長を見せた。SVリーグファイナルは無念に終わったが、勝負は続く。新たな代表戦だけでなく、先日発表されたポーランドリーグの強豪ルブリンへの移籍も、勝負の流転だ。
「勝負の面白さがなければ、ここまでバレーボールをやっていません。勝ち負けがあるからこそ、悔しさもうれしさもあって"楽しんでやる"につながる。勝つ瞬間のために頑張っているので」
髙橋にとって、敗北はいつだって勝利の"引き立て役"だ。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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