SVリーグの大河正明チェアマンが、川淵三郎の参謀を経て実感したプロ化の神髄 「ハードルが高いんだなと思っていました」 (3ページ目)
【Jリーグ、Bリーグを経てバレーボールの世界へ】
――Jリーグでの改革では、大河さんが行なったクラブライセンス制度(サッカークラブがリーグに参加するための資格を審査する)は特筆に値しますね。
「ドラマ『半沢直樹』(TBS)の世界でも描かれていましたが、銀行は本部の臨店担当が業績の悪い支店をどう立て直すか、をやるわけです。それと、集客が悪く財務がよくないクラブの再建をリーグがサポートする、ということは重なりますよね。
もうひとつ、融資や審査のところでは、たとえば支店が貸したい案件があって、本部に稟議書を出すわけですが、本部は『ここを詰めてください』『ここはどうなっていますか?』と宿題を出し、支店がそれに答え、合格すれば融資がOKとなる。審査、融資目線で支店とキャッチボールするのは、クラブライセンスそのものでした。
再生が必要なクラブも、想像する以上にステークホルダー(企業が経営をするうえで、直接・間接的に影響を受ける利害関係者)は多い。どこをどうすれば立て直せるか、そこは力の発揮しどころですね。どういう人がチームに価値を感じ、"ホワイトナイト"になってくれるか。地域に根差したスポーツというところでは行政もカギとなります。そういった働きかけは、最初は印象がよくないこともあるかもしれませんが、5年、10年後に『よかったね』と言ってもらえるようにやってきました」
――Jリーグ、Bリーグと川淵三郎(元Jリーグ初代チェアマン、元日本バスケットボール協会会長)の懐刀、参謀のように活躍されました。
「37、38歳の頃、Jリーグに出向していた時、川淵さんとほかの役員のミーティングをセッティングするのが私の役目でした。ざっくばらんな話し合いなんですが、それぞれ個性の強い方々をどう取り持つか、大変でしたね(笑)。川淵さんは財務、税務、会計、法律などの感覚がある方なので、それらをないがしろにしちゃダメというのがわかっていて、当時から重宝してもらえました。
私が中高でバスケットをしていたのを川淵さんは知らなかったそうですが、2015年2月にBリーグを立ち上げることになり、規約、定款、ライセンスなどが必要で、『力を貸してくれ』と言われました。ただ、半年後にふたつのリーグをひとつにして、1部、2部、3部と作るのは『無理です』と言ったんですが、どうしてもやって欲しいと。やるといったらやる方なので、再度、電話がかかってきた際にお引き受けしました」
―それでBリーグが始まり、今やプロスポーツとして軌道に乗っています。次にバレー界からも声がかかり、びわこ成蹊スポーツ大学の学長も務めながら、SVリーグを新たに作り上げました。
「2022年9月30日に(副会長を)お引き受けしました。『バレーもプロ化しないといけない』と思いましたね。メジャーなプロスポーツでは、ホーム&アウエー形式が原理原則です。日本では野球、サッカー、バスケ、そしてバレーが主要スポーツで、同じ形でやるべきなんですが、バレーはVリーグ時代、Jリーグ開幕の翌年にプロ化宣言をしたものの、結局は諦めている。2016年にも進めようとしましたが、うまくいっていない。これは相当、プロ化へのハードルが高いんだなと思っていました」
(中編:SVリーグの「主役」たちへの感謝を大河正明チェアマンが語る 外国籍選手の枠拡大はリーグ強化へのメッセージ>>)
<プロフィール>
大河正明(おおかわ・まさあき)
1958年5月31日生まれ、京都府出身。銀行員時代にJリーグへ出向した経緯があり、退職後にJリーグへ入社。常務理事を務め、クラブライセンス制度の導入などに携わる。その後、Bリーグのチェアマンや日本バスケットボール協会の専務理事・事務総長などを務めた。2020年からびわこ成蹊スポーツ大学の副学長、学長を務め、2022年9月にVリーグの副会長に就任し、新リーグ構想に着手。2024年7月、SVリーグチェアマンに就任した。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
【写真】SVリーガーたちが選んだ『ハイキュー‼』好きなキャラクターベスト3
3 / 3



















































