【男子バレー】ペルージャが実力の差を見せつけてサントリーに連勝 中心には石川祐希の姿が
10月7日、有明アリーナ。世界一にも等しい欧州王者シル・サフェーティ・ペルージャが来日し、SVリーグ初代王者サントリーサンバーズ大阪と親善試合で対戦した。1万4千人以上が入った会場は熱気で満ちていた。選手たちと触れ合える体験プログラムは100万円と話題に上った。
得点して咆哮するペルージャの石川祐希 photo by Noto Sunao(a presto)
「イタリアでもバレーは愛されていますが、監督会見にこれほど多くの記者が集まることは珍しく、みなさんに感謝を申し上げます。大きな会場が満席でした。オリンピックの決勝戦でも不思議ではなかったです」
試合後の会見で、ペルージャのアンジェロ・ロレンツェッティ監督は感嘆するように言った。
サントリーが髙橋藍を筆頭にオールスターチームで、人気があることは集客に大きくかかわっているだろう。関田誠大、小川智大など新加入選手のプレーも初お披露目だった。日本の王者が世界一を相手にどこまで戦えるのか、という興味もあったが......やはり石川祐希というアイコンが最大の熱源になっていたと言える。
「祐希をペルージャに観に行くことを考えたら、チケットは高いけど、むしろ得じゃない?!」
会場を歩く女性の言葉に、連れの女性ふたりも頷いていた。現在29歳のペルージャの日本代表選手は、なかなかライブで観られない。実際に国内に見参するのは初で、その価値はファンには垂涎ものだ。
そしてこの夜、石川は「世界」の片鱗のようなものを示している。
1セット目、ペルージャの選手たちは明らかに体が重そうだった。前日に到着したばかりで、時差と長旅の疲れは強烈。本来、試合をするようなコンディションではない。さらに、フィリピンで世界選手権を戦って合流が遅れていた選手も多く、ぶっつけ本番に近かった。サントリーの関田のトスワークに翻弄され、呆気なく20-25のスコアで最初のセットを落とした。
「今日の試合は、1セット目からミスというか、自分たちの流れが悪くて、リードを許すことになってしまいました」
試合後に石川は淡々と言った。
「チームの完成度はまだまだ低いと思っています。世界選手権から合流が遅れていたメンバーもいますし、今日の試合が選手全員揃ってできる最初の試合で。これから上げていくところですね」
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著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

