Vリーグ女子で東海大の連覇メンバーが活躍中 仲間からライバルになって切磋琢磨する3人 (2ページ目)

  • 坂口功将●取材・文・撮影 text & photo by Sakaguchi Kosuke

【ポジション転向もレギュラーに】

 東海大学を卒業してからポジションを転向し、その上でコートに立っているのが、デンソーエアリービーズの山下晴奈(23歳)。現在はアウトサイドヒッター、いわゆるレフトでプレーする。これまでプレーした経験はなく、高校時代はライト側からのアタックを仕掛けるミドルブロッカー、大学ではセッター対角に入っていた。

「レフトとライトでは、トスへのアプローチがまったく違う。最初はかなり苦労して、『リーグ戦えるかな!?』という感じでした(笑)。それでも徐々に慣れてきて、決定打は増えてきたかなと思います」

 不慣れなポジションながら、今季は開幕戦から先発の座を射止めた。「スタートで、しかもレフトでプレーするなんて予想外。大学時代には想像もしていなかっただろうな」と微笑む山下だが、実のところ、大学4年目は苦しいシーズンでもあった。

 振り返ること1年前、春先から右肩に痛みを抱え、「スパイクを打ちたくても、体が怖がってできない。思ったように腕が振れない。反対に、変に力んでしまったり......」と四苦八苦。「心と体のバランスが合わなくなってしまった」と明かす山下は、4年時の秋に手術に踏みきり、最終的には控えという立場で大学バレーを終えた。そんな経験も、今となっては財産になっている。

「それまで、ずっとスタートで出させてもらっていた分、リザーブとしての心構えだったり、『チームの中で自分がどういう存在でありたいか。どうあることが最善か』といったことを考える機会になりました。

 Vリーグに進んでも『最初から、すべてうまくはいかない』と考えていましたし、今もスタートで出られるのが当たり前ではない、と思っています。大学時代の経験があったからこそ、リザーブの選手たちの気持ちを踏まえてプレーすることができている。それは自分の新しい強みになったと感じます」

 ポジションも自らの強みもリニューアルして、1年目のシーズンを過ごしていく。

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