Vリーグ女子で東海大の連覇メンバーが活躍中 仲間からライバルになって切磋琢磨する3人 (3ページ目)

  • 坂口功将●取材・文・撮影 text & photo by Sakaguchi Kosuke

【大学時代の仲間の活躍は「うれしい」けど「負けたくない」】

 その中川や山下ら、かつてのチームメートの姿を「見てます!!」と、笑顔をのぞかせたのがヴィクトリーナ姫路の伊藤麻緒(23歳)だ。

「配信などを通して、『みんな頑張っているな~』って。大学の仲間がそうやって頑張っているのは素直にうれしいので、『自分も頑張りたいな』と。でも、試合では当たりたくないかも(笑)」

 伊藤もレギュラーに抜擢され、V2ではブロックの数字でリーグ上位に名を連ねている。ミドルブロッカーとしての持ち味を存分に発揮する一方、皇后杯ではこんな印象深いワンシーンがあった。

 JTマーヴェラスとの準々決勝。伊藤はサーブを打った直後のラリーで、相手ミドルブロッカーが放った強烈なクイックを見事にディグで拾い上げ、チームの得点につなげたのだ。

「私はサーブが得意なわけではないので、Aパス(セッターが動かずトスが上げられる位置へのパス)が返ったら(相手のセッターが)ミドルブロッカーを使ってくるのはほぼ読めていた、というか......。その前にも同様のケースがあったので、『サーブで決められない分、レシーブを上げてやる』という気持ちでした」

 ローテーションにおいて一度しかない、後衛のシチュエーションで披露したファインプレーに、仲間たちも頭をなでて祝福。「周りのすごい選手たちに『ナイス!!』と言ってもらえる瞬間があるからこそ、思いきってプレーができています」と伊藤は振り返った。

 井上愛里沙や宮部藍梨といった日本代表を擁しながら、姫路はV2、いわゆる2部リーグで戦っているが、ルーキーの伊藤は「カテゴリーがどこであれ、自分の力をVリーグでどれだけ試せるか。それは試合に出ないとわからないことなので」と意に介さず。チームの一員として勝利を追い求めるのはもちろんだが、前提として"試合に出る"。その考えは中川と共通する。

 いずれは大学の同期たちとの対戦が実現するかもしれないが、「その時はもちろん勝つ気でいます。でも、それは向こうも同じでしょうから」と伊藤。それと同じような言葉を、デンソーの山下も口にしていた。

「『負けたくない!!』ってなりますね。大学の4年生の時に味わったそれぞれの苦労をお互いに知っている分、Vリーグで試合に出ていたら応援したくなるし、うれしい。でも、自分も負けずに頑張ろう、と刺激にもなっています」

 ともに切磋琢磨する関係は、この先のVリーグでも続いていく。

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