Vリーグ女子で東海大の連覇メンバーが活躍中 仲間からライバルになって切磋琢磨する3人

  • 坂口功将●取材・文・撮影 text & photo by Sakaguchi Kosuke

Vリーグ注目の若手選手

女子編

(男子編:205cmのミドルブロッカー、パナソニックでレギュラーを奪取した2人も>>)

NECのセッターとして奮闘する中川つかさNECのセッターとして奮闘する中川つかさこの記事に関連する写真を見る

【身長159cmの闘志溢れるセッター】

 Vリーグで活躍する若手選手は、男子だけでなく女子にも多い。

 全日本大学女子選手権大会で、過去9度の優勝を誇る東海大学。直近でいえば第68回大会(2021年)、第69回大会(2022年)で連覇を果たし、その立役者となった選手たちが今季から戦いの舞台をVリーグに移している。

 そのうちのひとりで、NECレッドロケッツのセッターとして活躍する中川つかさ(23歳)は、さっそく皇后杯で優勝を味わった。決勝では二枚替えで投入され、試合後には表彰式で打ち上げられた金色のテープを、リボン替わりに後ろ髪にくくりつけて喜びを表現した。

 だが、その胸の内を聞くと複雑な心境がうかがえた。

「自分の起用については、チームがいいほうを選んでいると思います。もちろんチームが勝つのが一番うれしいし、先発でも二枚替えでも貢献したいのですが......。やっぱり自分がコートに立って、優勝を自分の手で掴み取りたいという気持ちがある。うれしさ半分、個人としては悔しさも半分、といった感じです」

 やるからにはコートに立ちたい。挑むからには勝ちたい。そんな勝ち気な性格が、これまでの競技人生で数々のタイトルを呼び込んできた。中学、高校、大学といずれも日本一を経験。さらにU20日本代表として、2019年にはU20世界選手権優勝、かつ大会ベストセッターという勲章も得た。

 まぎれもなく同年代を代表するセッターだが、Vリーグに入ってからは壁にぶつかった。これまでとは「違う種類のトス」を追求する必要が出てきたのである。

「速さもあって、かつ高い位置で打たせるトス、ですね。私は学生時代、『高い位置で打たせる=ゆっくりなトス』という感覚で上げていたので、今までやったことがなかったんですが、本当に難しい。まだ課題として残っていて、自分の中でしっくりきたトスが1本もありません」

 未知の領域で奮闘し、「それができれば、視野も広がるだろうなと思うんです」と意気込む。できない自分にも負けたくない、というのが中川の性分だ。

「(身長が)小さいのに、安定感がないと試合で使い物にならないと思うので。コートに立ち続けられる精神力や安定感も磨いていきたいです」

 身長159cmの体には、目いっぱいの闘争心が宿っている。

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