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石川祐希が「自信をなくしました」と語るなど万全ではなかった日本男子バレー そのなかで際立った髙橋藍の好調ぶりと成長 (4ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

【OQTで出場権を得られたメリット】

 チームを率いたフィリップ・ブラン監督は、「最初の3試合は失セットゼロでいく計画だった」とフィンランド戦後に明かし、「計画は今日で変わってしまった」と戸惑い気味に語った。エジプト戦もチームには迷いが感じられたが、翌日のオフ日にチームミーティングだけでなく、選手だけのミーティングを行ない、全員が目を見て話をしたことを明かした。

 そこから失セットゼロで五輪の出場権を獲得し、「自信を失うことがいかに危険なことかを今大会学ぶことができた」としみじみ。大会後には、今年度の日本代表の戦いを次のように振り返った。

「今年度はVNLで銅メダル、アジア選手権で優勝、そして今大会で出場権獲得と、すべての大会でいい結果を残せた。日本のみなさんに素晴らしいバレーを見せることができ、夢を掴むことができました。(五輪の出場権を獲得した)選手たちを誇りに思いますし、スタッフたちも毎日夜遅くまで作業をしてくれた。彼ら全員で勝ち取った出場権です。

 主将の石川祐希は万全な状態ではなかったけど、徐々に調子を上げて彼らしい、素晴らしいプレーを見せてくれた。それまで彼を支えたチームメイトも称えたいですね。東京五輪ではベスト8でしたが、パリ五輪ではそれ以上を狙います。

 今後、選手たちは所属チームに戻ります。基本的には映像でそれぞれのプレーを見ることになりますが、もちろん現地にも足を運びます。11月にはルーマニアの山本龍が初めての海外クラブに順応できているかをサポートし、イタリアリーグも視察する予定です。アジア大会で銅メダルを獲得したB代表のメンバーの中にも、A代表にふさわしい選手がいると思うので、Vリーグや大学リーグもチェックしながら見極めたいです」

 さらに今大会でパリ五輪への出場権を獲得したことについて、ブラン監督は「時間の余裕ができた」と強調した。

 OQTで出場権が獲得できなかった場合、来年のVNLの予選が終了した時点での世界ランキングで上位に入らなければならないため、VNLで新戦力を試したり、経験を積ませたりすることが難しくなっただろう。しかし出場権を獲得できたことで、新しい戦術的なオプションを考えるなど、さらなるチーム力の向上が期待できる。

 今年度の国際大会では14名の代表メンバーが躍動したが、パリ五輪に出場できるのは12名。その最後のサバイバル、パリ五輪の本戦に向けて、選手たちは各リーグで成長を目指す。

著者プロフィール

  • 中西美雁

    中西美雁 (なかにし・みかり)

    名古屋大学大学院法学研究科修了後、フリーの編集ライターに。1997年よりバレーボールの取材活動を開始し、専門誌やスポーツ誌に寄稿。現在はweb Sportiva、バレーボールマガジンなどで執筆活動を行なっている。『バレーボールスピリット』(そしえて)、『バレーボールダイジェスト』(日本スポーツ企画出版)、『球萌え。』(マガジンハウス)、『全日本女子バレーコンプリートガイド』(JTBパブリッシング)などを企画編集。スポルティーバで西田有志の連載を担当

【写真】男子バレーボール フォトギャラリー『龍神、飛翔!』

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