石川祐希が「自信をなくしました」と語るなど万全ではなかった日本男子バレー そのなかで際立った髙橋藍の好調ぶりと成長 (2ページ目)
エジプト戦は関田と山本の併用となり、流れを引き戻すことができずに敗戦。それでも関田は気持ちを切り替え、失セットゼロでスロベニア戦まで戦い抜いた。悩める関田の話に耳を傾けていたのは、パナソニックパンサーズの同期で入団から約2年半ともにプレーした山内晶大。その山内は「彼はすごく真面目で、自分で自分を追い込んでしまうところがある。そこは長いつき合いですから、吐き出せるだけ吐き出させてあげようと思いました」と語った。
さらに石川に「エジプト戦での負けが、チームがまとまるきっかけになったか?」と問うと、「そういう部分があったのは確かです」と認めた。また、自らのコンディションも含め、大会を次のように振り返った。
「僕は実戦で調子を上げていくタイプなので、みんなに迷惑をかけてしまったけれど、(3戦目以降の)大事な4試合で調子を上げていくことができてよかった。どの試合も本当にチームメイトやスタッフの方たちに助けられました。
強い日本をたくさんの日本のファンにお見せすることができて嬉しいですね。この代表シーズンは、パリ五輪の出場権獲得が一番の目的でそれを果たせましたし、ネーションズリーグ(VNL)では銅メダル獲得、アジア選手権では優勝と、とても満足しています」
コンディションで苦しんだという点では、オポジットの西田有志も期するものがあっただろう。昨年から謎の体調不良に襲われ、故障もあってリーグでもプレーできない期間が続いた。代表シーズンでもなかなか調子は上がらず、VNLではユース時代からのライバル・宮浦健人が猛アピール。30年ぶりにブラジル相手に勝利した試合、世界大会で46年ぶりに銅メダルを獲得した一戦も宮浦がフル出場した。
西田は「正直、ものすごく挫折を味わっていました」と吐露した。
「『自分がこの場所にいてもいいのだろうか』と苦しみました。でも、我慢して使っていただいたおかげでアジア選手権の決勝で『(復調のきっかけを)掴んだな』と感じましたし、OQTはほぼフルの力で戦えたと思います。会場で後押ししてくださったみなさん、テレビや配信を見て後押ししてくださったみなさん、そして報道陣のみなさんにも本当に感謝しています。
日本ではまだ、バレーボールはそこまでメジャーではありません。みなさんが報道してくださることによって、僕たちの頑張りが見ている方々に届く。あらためて、ありがとうございます」
高校生の時からⅤリーグで活躍し、翌シーズンからシニア代表に抜擢された"やんちゃ坊主"は、苦難を乗り越えてまたひとつ大人になったように感じた。
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