日本女子バレーのパリ五輪出場条件とは? トルコ、ブラジル戦で見えた「サーブレシーブとメンタル」の課題 (2ページ目)
【あと一歩に迫った、強豪国との戦いで見えた課題】
そうして強豪のトルコ(第6戦)とブラジル(第7戦)も善戦したが、同時に課題も見えた2敗となった。
今大会で最終的に首位になったトルコにはVNLで勝利していたが、トルコは日本をよく研究してきており、攻守の要である林琴奈を徹底してサーブで狙ってきた。その一方で、トルコはVNLで温存されていた、キューバから帰化した絶対エースのメリッサ・バルガスが調子を上げていった。1セット目は相手にミスが目立ち日本が先取したが、次第にバルガス以外の選手の決定率も上がっていき、日本はブロックの的を絞れなかった。
ブラジルは今も強豪国だが、北京、ロンドン五輪で金メダルを獲得した時のような絶対的な強さはない。昨年の世界選手権でも、1次ラウンドでは日本が勝利している。ただ、ブラジルは5戦目のトルコ戦の直前に、北京五輪金メダリスト、バレウスカ・オリベイラの訃報があった。そのトルコ戦は落としたものの、主将のガビを中心に「バレウスカのために戦った」とチームがまとまり、激戦となった日本戦は気迫でもぎとった。
トルコ戦、ブラジル戦での敗因について、眞鍋監督は「サーブレシーブが崩されたことと、メンタルですね」とコメントした。
サーブレシーブに関しては、今回のリベロ起用の意図も影響したかもしれない。今大会は"スパイクレシーブ型"の福留慧美の起用が多かったが、ベルギー戦をはじめサーブレシーブが崩れた際には、"サーブレシーブ型"の西村弥菜美と福留が併用される形になった。
ほとんどの国際大会はメンバーが14名だが、五輪本戦は12名しかベンチに入れず、リベロはひとりしか登録できない。眞鍋監督としては、どういったリベロを据えるかを決めたい狙いもあっただろうが、トルコ戦、ブラジル戦では2人ともレシーブで崩されたり、サーブのインアウトのジャッジをミスしたりする場面も。リベロに関しても、来年度に向けて注目のポジションになりそうだ。
メンタルについては、20点以降の勝負どころや、セットポイントを握った場面で決めきれないところも目立ったように思える。単純な「根性論」ではなく、技術や実力が拮抗した相手に対して、存分に力を発揮するために気持ちをどう持っていくか、ということだろう。ブラジル選手たちの鬼気迫る表情とプレーを見ると、よく耳にする「勝とうとする気持ちが強かったほうが勝つ」というコメントにも重みが増す。
ただ眞鍋監督は、「技術は向上させるのに半年や1年かかりますが、メンタルは1秒で変われます。専門スタッフにもついてもらっていますし、向上していけたらいいと思います」と冷静に述べた。来年度はパリ五輪の出場権をかけて"後がない"状況で試合を迎えるケースも考えられるが、そこで真価が問われることになりそうだ。
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