日本女子バレー東京五輪出場への最終サバイバル。セッター問題は解決? チームの中心は? (2ページ目)
中田体制は5年目となったが、なかなかセッターを固定することができなかった。冨永こよみ、田代佳奈美、佐藤美弥と毎年正セッターが交代したが、現役時代にセッターで、センター(現在のミドルブロッカー)とのコンビを得意としていた中田監督は、現役時代の自分と同じようにミドルがうまく使える佐藤への期待が大きかったように思える。しかし、その佐藤は故障が続き、2020-21シーズンのVリーグにはほとんど出場することができず、今年5月に現役引退を発表した。
一方の籾井は、入団初年度からJTマーヴェラスの吉原知子監督に正セッターを任され、2年連続優勝に貢献。その功績から今年、日本代表に初選出された。176cmという身長とサウスポーであるところが現役時代の中田監督を彷彿とさせるが、国際経験のない若いセッターに突然代表の司令塔を任せることへの不安の声もあった。また、この2年間、JTのオポジットが圧倒的な攻撃力を誇るアメリカ代表のドルーズ・アンドレアであったことから、ドルーズに偏ったトス回しをする印象があり、代表ではミドルがうまく使えるかも危惧された。
しかしVNLが開幕すると、主将の荒木絵里香はもちろん、島村春世、山田二千華らミドルブロッカー陣の攻撃を効果的に使い、Vリーグでの「ミドルへのトスが少ないセッター」というイメージは見事に払拭された。特に、ベルギー戦で21歳の山田が連続でブロード攻撃を決めた場面は、3年後のパリ五輪へと続く明るい未来を予感させるものだった。
前述のようにサイドアタッカー陣は、古賀、黒後、石川のスタメン出場が圧倒的に多くなっている。中でも今年、副主将を任された古賀の活躍が目立つ。今季の古賀の好調はVリーグから続いており、「そこに上げれば何とかして決めてくれる」という真のエースに成長した。VNLのベルギー戦までの個人成績(6月14日。以下同)は、ベストスコアラー部門7位で、スパイク部門4位。サーブレシーブも4位と安定している。
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