【男子バレー】天国と地獄を知る清水邦広。リオ最終予選に懸ける思い (4ページ目)
取材後、その大きな手を見せてもらうと、左手甲には古傷が残っていた。
「アスリートとして、人として、やっていい行為ではありませんでした。反省しています。ただ、ダメだった自分、どうしようもなかった自分を含め、すべての出来事があったから、今の自分があるんだと、今は思えるんです」
右足の手術痕も、今なお生々しく残る。「寒くなると傷が疼(うず)きませんか?」と聞くと、清水は「大丈夫です。冬場と言わず、ずっと痛いですから(笑)」と豪快に笑い飛ばした。
癒えることのない体の痛みに折り合いをつけながらプレーを続けるのは、ベテラン選手ならば当然かもしれない。ただ、193cm、94kg、“ゴリ”のニックネームにふさわしい肉体を持った男の、実は繊細なハートに今なお残る傷ならば、本場のサンバのリズムを聞けば、いくばくかは癒えるはずだ。
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