加藤未唯が「してはいけないことをしてしまった」と語る全仏のあの出来事 涙で言葉に詰まり...「もうテニスを辞めるしかないのかな」 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • 説田浩之●撮影 photo by Setsuda Hiroyuki, Kyodo News

 クレーのローマ大会(BNLイタリア国際/WTA1000)では、いつも組んでいるディラ(アルディラ・スチアディ/インドネシア)とは違う選手(ウルリッケ・エイケリ/ノルウェー)と組んだんですが、そこでもベスト8に入れたのは自信になったところです。

 好きな町の大会で勝ちたいという思いもあったので、今回のフレンチオープンでは『ラスト8クラブ(※)』に入るのを目指していました」

※=グランドスラムでシングルスのベスト8、男女ダブルスのベスト4、混合ダブルス決勝進出者に入った選手たちに与えられる栄誉。いつでも会場を訪れられる"生涯パス"を手にすることができる。

── ラスト8クラブに入りたいということは、全仏オープンが始まった直後からおっしゃっていました。そこまで思い入れが強い理由はなんでしょう?

「全豪オープンでベスト4に入ったので、オーストラリアのそれは持っているんですが、やっぱりフランスは好きなので、引退したあとも行きたいと思っているんです。でも、何かきっかけがないとなかなか行かないと思うんですよね。その時に『大会から招待してもらえている』と思えたら行きやすいかなと。

 たとえば自分に子どもができた時に、『ここでテニスをやっていたんだよ』と見せることができたら、テニスをやっていてよかったなって言えるとも思うんです。なので将来のことを考えた時、生涯パスがもらえる『ラスト8クラブ』にフレンチで入りたいという思いは強かったんです」

   ※   ※   ※   ※   ※

 過去に幾度も『キャリア初』を経験した、いい思い出が染み込むパリの町。今季は開幕から調子を上げてきたなかで、手応えを携え挑んだフレンチオープンでもあった。

 実際に1〜2回戦は、いずれも圧勝。

 そして迎えた3回戦──。第1セットは奪われるも、第2セットはブレーク先行。追い上げる流れが生まれたその時、あの出来事は起きた。

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