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大坂なおみ、「憧れのビーナスに
勝てたんだから」と笑顔で今季終了 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Getty Images

 第1セットでは先にブレークされるが、「相手はすばらしい選手。リードされたからといって落ち込む必要はないし、落ち込んでいる場合でもない」と心を落ち着ける。同時に「自分のプレーは悪くない。このまま集中力を切らさなければ、必ずチャンスは来る」と自らに言い聞かせた。

 畏敬の念を自制心とモチベーションに換えた大坂は、第1セットのゲームカウント3-5から自慢の強打でウイナーを連発し、9ゲーム連取の電車道。勝利まで1ゲームに迫ったサービスゲームではブレークを許すも、その場面でも「ビーナスはツアーでも1~2のリターンの名手。ブレークされても仕方ない」と思えたと大坂は言う。

 果たして続くゲームでは、破壊力に満ちた1本のリターンウイナーが、あのビーナスの心を打ち砕く。ラインを大きく割るボールが試合に終止符を打ったとき、大坂は小走りにネットへ駆け寄ると、首をすくめるようにペコリと会釈し、憧れの存在が差し出した手をしっかりと握り返した。

「キャリア最高の試合」。本人もそう認めるビーナス戦勝利の2日後......大坂はアナスタシア・パブリチェンコワ(ロシア)に3-6、3-6のスコアで敗れる。相手が上り調子の世界21位であることを考えれば、結果そのものは必ずしも落胆するものではない。しかし試合後の大坂は、伏し目がちに「ミスが多すぎた」と小声でこぼす。

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