内山靖崇がマクラクラン勉と出会い、楽天OPで優勝するまでの道のり

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 人の縁が......あるいはひとつの邂逅(かいこう)が、時に人生の歯車を大きく動かすことがある。特に、テニスのように世界を舞台とする競技に幼少期から身を置く場合、かつての出会いが時間の渦を漂い、何かの拍子にひょっこりと表層に表れ、存在感を放つことがある。

楽天ジャパンオープンを制した内山靖崇(左)とマクラクラン勉(右)楽天ジャパンオープンを制した内山靖崇(左)とマクラクラン勉(右) 25歳の内山靖崇(やすたか)にとって、楽天ジャパンオープン優勝のパートナーである同い年のマクラクラン勉(ベン)との再会は、そのような数奇な足跡の交錯であった。

「ベンと初めて会ったのは、13歳のとき。『ワールドジュニア』という14歳以下の国別対抗戦に、僕が日本代表、彼がニュージーランド代表で出ていて......」

 12年前の日を、内山が回想する。

「そのときに、ベンはお母さんが日本人なので、日本語が少し話せるらしいと知ったんです」

 外国を代表する選手ながら、自分と同じ歳で、親族には日本人がいる――。異国の地で出会った少年との共通項が、無垢な好奇心と親近感をかき立てたことは想像に難くない。出会いから5年後の18歳時には、ふたりはパートナーとして全仏オープンジュニアのダブルスにも出場する。その後、内山はプロに転向、そしてマクラクランはアメリカのカリフォルニア大学バークレー校に進学し、それぞれ別の道を歩み出した。

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