錦織圭が今季3度目でようやく見つけた
「ジョコビッチ攻略法」 (2ページ目)
その錦織が、このマドリードでの試合後には、「そんなに焦り過ぎず、無駄なミスも少なかった」と、過去2試合とは正反対とも言える所感を口にした。
「今日は一番、彼との試合のなかで自分が充実したテニスをしていた」と、表情と言葉にたしかな手応えをにじませてもいる。その想いは、記者席でペンを走らせる者たちも共有した感覚だったのだろう。試合後の会見で最初の質問をしたスペイン人記者は、開口一番、「今日の試合、私たちはすごく楽しませてもらいました」と賛辞を述べたほどである。
このように見る者をも魅了した、濃密なる1時間58分の試合にこそ、錦織が口にした充実感の根拠があるのは明白だ。
日の長いマドリードの空にも茜色から濃紺のグラデーションがかかり、コート上空をひらひらと舞うコウモリが夜の訪れを告げるなか、始まった準決勝――。コイントスに勝利し、リターンゲームを選んだ錦織は、冷たい空気を切り裂くリターンで即座に主導権を握ると、鋭いスピンをかけたフォアの逆クロスを打ち込み、この試合最初のポイントを奪取。その後も狙い澄ましたドロップショット、さらにはふたたびフォアのウイナーを叩き込み、いきなり0-40と3つのブレークポイントを手にしたのだ。
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