錦織圭が今季3度目でようやく見つけた「ジョコビッチ攻略法」

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

 マドリード・マスターズ準決勝で実現した今季3度目となるノバク・ジョコビッチ(セルビア)との対戦は、結果だけ見れば3-6、6-7で、今回も錦織圭の敗戦であった。しかし、試合後の会見での錦織の表情を見れば、その試合内容が、そして彼が感得した皮膚感覚が、過去数試合とは大きく異なることは明らかである。

今季3度目のジョコビッチ戦で攻略のヒントを掴んだ錦織圭今季3度目のジョコビッチ戦で攻略のヒントを掴んだ錦織圭 今年1月の全豪オープンで敗れたとき、錦織は、「頭のなかではやるべきことは明確にあるのですが、なかなか実行に移せなかった。チャンスが見い出せなかったので、ちょっと不甲斐ない......」とまつ毛を伏せた。約1ヶ月前のマイアミオープン決勝で敗れた際も、勝機や攻略法について問われると、「正直、見えてきたところが今日はないです」と、幾分混乱した表情で完敗を認めている。

 そして、これら2試合でいずれも口にしたのが、「少し焦りもあったろうし、もうちょっとじっくり攻めるべきだったのかも」「(攻撃的に)打たないほうがいいのか、打ったほうがいいのかわからなかった」という、戦法に対する迷い。そして、「一番崩すのが大変な選手」「どうしても長いラリーになってしまうなかで、少ないチャンスを見つけて打っていって、しかもそれが入らないといけないので......本当に崩すのは難しい」という、ジョコビッチの鉄壁の守備に対する、畏怖(いふ)にも似た感情であった。

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