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【テニス】実り多き錦織圭の全豪。「自分の力が通じることが分かった」 (4ページ目)

  • 内田 暁●文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 課題を見つけると同時に、収穫もあった。何より大きいのは、フィジカルの向上だ。「以前の自分なら、5セットを戦った次の日は動けないほど疲れていた。それが、今回は自分でも驚くほど、痛みにつながるような疲れがない」という。また、プレイそのものについても「改めて、自分の力が通じることが分かった」と自信を深めた。その方向性が正しいことは、対戦したマリーも「彼がここ半年間にやってきたことを、そのまま続けていけば良い」と認めている。

 このベスト8の成績により、来週発表されるランキングで錦織は、世界20位になることが確定した。このまま行けば、今後も4大大会でシード選手となり、早い段階での上位選手との対戦もなくなる。今大会で3回戦進出を決めたときには、「シードの責任として、3回戦まで行かなくてはという思いが10パーセントほどあった」と安堵したが、これからはその地位に慣れ、いかに体力の消耗なく2週目に勝ち残るかが勘所だ。

「今回の結果は自信になったし、足りないところも分かった。気持ちが強くなったと思う」。実り多き10日間を振り返り、成長過程にある22歳は、そう断言する。グランドスラム2週目という未知の領域に足を踏み入れ、肌で知った強者たちの住む世界。何ものにも代えがたい経験という武器を、錦織はメルボルンでその手に掴んだ。

 2012年シーズンは、まだ始まったばかりだ。

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