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【テニス】実り多き錦織圭の全豪。「自分の力が通じることが分かった」 (3ページ目)

  • 内田 暁●文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 同時にその差は、今後、錦織がグランドスラムでさらに上を目指すために、克服しなくてはならない課題そのものでもある。奇しくもこの日(1月25日)は、今から18年前、伊達公子が全豪オープンでベスト4進出を決めた日であった。今大会、ミックスダブルスで錦織とペアを組んだクルム伊達は、世界のトップと伍して戦った当時の記憶を、こう回想する。

「2週目に入ると、日に日にトップ選手の目の色が変わり、ギアもアップしていくのが明確に分かった。彼女たちにとって、1週目は調整段階。錦織君も今後、そういう中で勝負していくことになると思う」

 そしてこの日、錦織は、その伊達の言葉の真意を、身をもって知ることになる。「トップ4の選手たちは、ほとんどセットを落とすことなく勝ち上がってきている。それは、1週目は楽に勝つ力があるということ。このレベルに来て、グランドスラムを取るには、すごい実力が必要だということが分かった」。

 今大会が始まる前、初めてシード選手として4大大会に挑むことに関し、錦織は「まだ、大会後半に照準を合わせるような余裕はないです。1試合目から全力でやりたい」と、やや硬い表情で口にした。だが、全豪ベスト8を経験した今、「グランドスラムやマスターズなどの大きな大会に照準を合わせていく」と、シーズン全体の戦い方についても明確なビジョンを持つようになっていた。

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