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元ラグビー日本代表・福岡堅樹がAI時代に考える未来の医者像「情報を効率的に伝えるだけでは機械と変わらなくなってしまう」

  • 齋藤龍太郎●取材・文 text by Ryutaro Saito

連載:NEXT STAGE~トップアスリートのセカンドキャリア
福岡堅樹インタビュー(後編)

◆福岡堅樹・前編>>現在医学部6年生「運動ってこんなにしないものなんだ」
◆福岡堅樹・中編>>30代で医師を目指す元ラグビー日本代表の勉強法

 ラグビー元日本代表のレジェンド・福岡堅樹は現在の本分である医学の道に邁進しながらも、埼玉ワイルドナイツのアンバサダーとして、ホストゲームの場内放送でわかりやすいプレー解説を行なっている。熱戦の最中でもすっと耳に入ってくる、優しくわかりやすい解説だ。

 加えて、テレビ中継の解説はもちろん、昨春までは情報番組『ウェークアップ』にレギュラー出演し、国内外のさまざまな事象についてコメントするなど、言葉を扱う仕事にも取り組んできた。

福岡堅樹はどの分野の専門医を目指しているのか photo by Yuuri Tanimoto福岡堅樹はどの分野の専門医を目指しているのか photo by Yuuri Tanimotoこの記事に関連する写真を見る「『ウェークアップ』はすごくいい経験になりました。番組出演の機会をいただけたからこそ、自分がやってきていない専門外のジャンルについても考えることができました。

 自分が話したいことを考えてまとめ、それを実際に生放送の限られた時間で尺を考えて伝える──そういう機会自体が貴重なので、本当にありがたかったですね」

 的確かつ適切に言葉を使いこなす能力は、いずれは医師としても必要不可欠な要素になる。今回のインタビューでも終始感じられた言語化能力は、どのように培われたのだろうか。

「もちろん自分の気質もあると思いますが、そのようになるきっかけを自分に与えてくれたのは、父とのラグビーの反省会ですね」

 歯科医の父・綱二郎さんは、福岡が出場した試合を幼少期からビデオで撮影。試合後にその映像を見返すことが、ふたりの決まりごとになっていた。そして、一つひとつのプレーに対して「この場面ではどのようなことを考えて、このプレーをしたのか」といった問答を行ない、福岡自身も考えを言語化した。この習慣がその後の輝かしいキャリアの礎(いしずえ)になった。

「スポーツという行動を言語化する練習になっていましたし、自分でその感覚を振り返り、加えて映像で見ることで、主観的な視点と客観的な視点を合わせていくことができました。とてもいい機会であり、いい勉強になったと思います。

 ラグビーに限らず、言語化は大事です。自分がどう理解しているかをしっかりと説明していくなかで、もし矛盾があれば、『あれっ? なんか自分、違う覚え方をしているな』と気づくことができます。

 大学で友だちとお互いに知識を共有していく過程でも同じように言葉にすることで、新たな気づきや学びが生まれているので、あの父との反省会は今でも本当に役に立っています。スポーツの経験は社会で生かせる機会が多いなと、あらためて感じています」

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著者プロフィール

  • 齋藤龍太郎

    齋藤龍太郎 (さいとう・りゅうたろう)

    編集者、ライター、フォトグラファー。1976年、東京都生まれ。明治大学在学中にラグビーの魅力にとりつかれ、卒業後、入社した出版社でラグビーのムック、書籍を手がける。2015年に独立し、編集プロダクション「楕円銀河」を設立。世界各地でラグビーを取材し、さまざまなメディアに寄稿中。著書に『オールブラックス・プライド』(東邦出版)。

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