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五郎丸歩が2015年をふり返る。「変わったこと、変わらないこと」 (3ページ目)

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu   齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 だから、ラグビーに対する姿勢は変わらない。テレビ出演や表彰式などで練習を休むことはまず、ない。その瞬間を大事にする。100%の気持ちで練習に打ち込む。毎日、練習の最後、試合を想定しながら約10本、ゴールキックを蹴るのである。

 環境が人を作る、という。五郎丸のW杯後の変化を聞かれ、清宮克幸監督は「ノーブレス・オブリージュ」という言葉を使った。ノーブレス・オブリージュとは、恵まれた才能と環境に生まれた選ばれし者は、率先して社会への責任を果たす義務があるという意味である。

「いまはただ、ヤマハの一プレーヤーとしてチームに献身的なプレーをしてくれています。ファンに対しても非常に丁寧に驕ることなく接しているなと感心しています。責任感というか、ノーブレス・オブリージュをしっかりやっているなという感じですね」

 そうなのだ。五郎丸の五郎丸たる所以(ゆえん)は、変わらぬ誠実な姿勢にある。だから、ファンに愛されるのだろう。プレーで言えば、「安定感」である。仲間からの「信頼感」と言ってもいい。プレーではミスをしない、ゴールキックを確実に蹴り込む、体を張ってパントキックをキャッチする、相手にタックルする、そんなことである。

 内面的な安定を支えているのは、ヤマハのつらい時期や日本代表を外された時の経験など、紆余曲折のラグビー人生であろう。「疲れは?」と聞かれると、五郎丸は「それが、あんまりないんですよね」と笑った。

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