セパタクロー日本代表が強豪国の仲間入りを果たせたワケ 世界の頂点に立ち、「本当の戦いはこれから」
セパタクロー男子日本代表
世界一への道 後編
(前編:世界一になったセパタクロー日本代表 「サーカス集団」から脱却し、相手を上回るために何をしてきたのか?>>)
【世界選手権の決勝でハマった戦術】
セパタクロー日本代表の最大の目標は、2026年の愛知・名古屋アジア大会で表彰台の頂点に立つことだ。監督の寺島武志は選手たちに、「それまでのプロセスで、一度は金メダルを取っておこう」とノルマを課した。
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今年7月、世界選手権のベトナムとの決勝戦は圧巻だった。スタートは、アタッカー佐藤優樹(36歳)、アタッカー市川遥太(30歳)、サーバー奈良輪航(28歳)、トサー春原涼太(26歳)の4人。リザーブに内藤利貴(31歳)と笹本将貴(27歳)が入った。試合は15点先取の3セットマッチで行われ、2セットを先に取った方が勝利となる。
日本は開始早々、ベトナムのアタックを佐藤、市川、春原の3人がブロックで止めた。横一列に並んだ3人がネットを背にして跳ぶブロックは、日本が磨いてきた武器のひとつだ。さらに市川のフェイントが、相手コートの空いたスペースにポトリと落ちる。佐藤のアタックもことごとく決まった。
8-5と日本が3点をリードしたところで、ベトナムがタイムアウトを要求。その後も日本がブロックでプレッシャーをかけ、ベトナムはミスを連発した。第1セットは日本が15-7と圧倒した。
出だしのブロックがハマった、と振り返るのは春原だ。
「いろいろなデータや前の試合も見ていたのですが、ベトナムは結局、トサーが真ん中にトスを上げて、それをエースアタッカーが打ち込んでくるスタイルでした。自分たちが真ん中でブロックを跳んだら、本当にそこで止まった。点を取れたこともそうですし、相手が想定通りの戦い方をしてきたので、『これはいけるかも』って全員がポジティブに思うことができました」
チームの得点源でもある佐藤は36歳のベテラン。高校までサッカーをしていたが、亜細亜大学入学後の部活体験でセパタクローに出会った。アクロバティックなプレーに「すごいスポーツだ」と心を惹かれ、のめり込んだ。大学を卒業して、仕事を理由に一度は日本代表を辞退。しかし、「どこかセパタクローをやりきれていない部分が自分の中にあった」と転職を決意した。今も会社のサポートを受けながら、日本代表の活動に参加している。
チームの得点源の佐藤 photo by Tsutomu Takasuこの記事に関連する写真を見る
「自分はパワーで押し切るのではなく、技術を使ってうまく決めるタイプです。頭のなかで対策をいろいろ考えて試合に臨み、それが点数につながりました。
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