セパタクロー日本代表が強豪国の仲間入りを果たせたワケ 世界の頂点に立ち、「本当の戦いはこれから」 (2ページ目)
勝因は、もうひとつ。世界選手権の直前にマレーシアで大会があったのですが、チームとしてサーブがよくなかったんです。そこで、チームが勝つために、"サーブをネットに当てて相手コートに入れる"という作戦を立てました。いわゆるネットインです。あとは前後にサーブを打って相手を揺さぶる。たくさん練習したことで、自信を持って打つことができました」
もうひとりのアタッカー市川は、170cmと小柄ながら、抜群のスピードと思い切りのよさが持ち味だ。トサーの春原は「負けず嫌いで、一度止められても、もう一度、同じコースに打ちにいくタイプ。スピードがあり、どんなトスでも打ってくれる安心感がある」と評する。
第2セットも、日本の勢いは止まらない。1点目は佐藤のアタックだった。トサーの春原がネットの左端いっぱいに速いトスを上げ、相手のブロックを遅らせた。日本が得意とする速い攻撃が決まった。ベトナムのミスを誘発し、連続得点につなげた。ベトナム選手の顔が歪む。焦りが手に取るように伝わってきた。
しかし、日本にもミスが出て、5-7となったところで寺島がタイムアウトを要求する。早めの采配が功を奏した。落ち着きを取り戻し、9-8と逆転に成功。相手の意表を突く4枚ブロックも効果的だった。
身長180cmと高さがある奈良輪がブロックで相手のアタックを止めて、マッチポイントを奪った。最後は市川のローリングアタックで15-10。セットカウント2-0で歓喜の瞬間を迎えた。
真っ先にコートに駆け寄り、喜びを爆発させたのはチームキャプテンの内藤だ。普段は特別支援学級の支援員として働きながら、所属クラブで週3日の練習に参加している。ケガの影響で今回の世界選手権は出番がなかったが、アタックの高さとパワーで右に出る者はいない。
キャプテンを務めた内藤 photo by Tsutomu Takasuこの記事に関連する写真を見る
「すごくうれしかったですね。目標にしていた金メダルが獲れたんですから。もちろん、いつでもコートに立つ気持ちはあったので、そこの悔しさはあります。でも、だからこそ冷静でいられて、うれしいけど、『次は頑張ろう』という気持ちでした」
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