2026年F1の行方は? ホンダとレッドブルは「真価が問われる」 浅木泰昭が期待する組織内の「突然変異」
元ホンダ・浅木泰昭 連載
「F1解説・アサキの視点」第5回 後編
2018年にトロロッソ(現レーシングブルズ)と組んで始まったレッドブル・グループとホンダのパートナーシップ。翌2019年、ホンダはレッドブルにもパワーユニット(PU)の供給を開始し、その後ホンダが突如2021年シーズン限りでのF1撤退を表明するなど紆余曲折があったが、ホンダとレッドブルは2025年シーズンまでともに戦い続け、大きな成功を収めた。
そして、2026年からホンダとレッドブルは袂(たもと)を分かち、新たな挑戦をスタートする。レッドブル・ホンダを成功に導いた立役者である元ホンダ技術者の浅木泰昭氏に8年間にわたるパートナーシップを振り返ってもらうとともに、それぞれの未来について語ってもらった。
2023年には全22戦中21勝という偉業を達成したレッドブル・ホンダ photo by Sakurai Atsuoこの記事に関連する写真を見る
【築き上げた勝つための信頼関係】
レッドブルとはパートナーシップを組んで1年くらいすると、勝つためにお互いが全力を尽くすという信頼関係が築けていました。レッドブルからは「こういうことをやりたいので助けてほしい」という話もありましたし、逆にホンダからは「PUでこういうことをすれば車体側の性能向上ができるんじゃないか」と提案したこともありました。
たとえばホンダからは「油温をもっと上げることができる」と提案したことがありました。油温をできるだけ高い温度でオペレーションできれば、ヒートエクスチェンジャー(熱交換器)を小さくすることができ、車体側の空力性能を向上することに役立つだろうと考えました。
ホンダは油温を上げてもPUの馬力と耐久性が落ちない開発をしていました。でも、耐久性が落ちて多少はPUの馬力を落とさざるを得ない場面があったとしても、車体の空力性能が上がってトータルで競争力が上がればよいのです。私はレッドブル・ホンダというパッケージのなかでラップタイムが上がる方策をつねに取るように指示を出してきました。
それはレッドブル側も一緒だったと思います。レッドブル・ホンダとして速くなるために何をすればいいのかという考えのもとで、両陣営が勝つことだけに集中して仕事に取り組むことができていました。
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著者プロフィール
川原田剛 (かわらだ・つよし)
1991年からF1専門誌で編集者として働き始め、その後フリーランスのライターとして独立。一般誌やスポーツ専門誌にモータースポーツの記事を執筆。現在は『週刊プレイボーイ』で連載「堂本光一 コンマ1秒の恍惚」を担当。スポーツ総合雑誌『webスポルティーバ』をはじめ、さまざまな媒体でスポーツやエンターテイメントの世界で活躍する人物のインタビュー記事を手がけている。


















