セパタクロー日本代表が強豪国の仲間入りを果たせたワケ 世界の頂点に立ち、「本当の戦いはこれから」 (4ページ目)
当時も今も、タイが世界最強であることは論を俟(ま)たない。タイとは、絶望的な実力差があった。日本が1点を取ることさえ至難の業。あからさまに手加減をされることもあった。
「タイはすごく優しい国で、1点も取れない日本に対して、できるだけ気づかれないように2、3点をくれるんです。相手の尊厳を傷つけないように、『また来てね』という意味も込めて気持ちよく帰ってもらう。それが30年経って、タイが勝てなかった相手(ベトナム)に勝つんですから。それは、感慨深いですよ」
しかし、余韻に浸っている時間はない。佐藤は「ずっと目標にしているのは、アジア大会で金メダルを獲ること」と気を引き締めた。
その言葉に内藤も呼応する。
「優勝の喜びから覚めた時、『これからもっと大変になる』と思いました。対戦する相手も、日本を強い国と認識するようになる。データも取られるでしょう。本当の戦いはこれから。注目される国になったので、それを超える何かをしていかないといけません」
日本のセパタクローにとって、金メダルはゴールだろうか。おそらく違う。愛知・名古屋アジア大会までの1年をどう過ごすか。真の価値は、そこで決まる。
彼らの挑戦は、まだ終わらない。
【写真】世界一になったセパタクロー男子日本代表 フォトギャラリー
4 / 4








