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セパタクロー日本代表が強豪国の仲間入りを果たせたワケ 世界の頂点に立ち、「本当の戦いはこれから」 (4ページ目)

  • 取材・文●岩本勝暁 text by Katsuaki Iwamoto

 当時も今も、タイが世界最強であることは論を俟(ま)たない。タイとは、絶望的な実力差があった。日本が1点を取ることさえ至難の業。あからさまに手加減をされることもあった。

「タイはすごく優しい国で、1点も取れない日本に対して、できるだけ気づかれないように2、3点をくれるんです。相手の尊厳を傷つけないように、『また来てね』という意味も込めて気持ちよく帰ってもらう。それが30年経って、タイが勝てなかった相手(ベトナム)に勝つんですから。それは、感慨深いですよ」

 しかし、余韻に浸っている時間はない。佐藤は「ずっと目標にしているのは、アジア大会で金メダルを獲ること」と気を引き締めた。

 その言葉に内藤も呼応する。

「優勝の喜びから覚めた時、『これからもっと大変になる』と思いました。対戦する相手も、日本を強い国と認識するようになる。データも取られるでしょう。本当の戦いはこれから。注目される国になったので、それを超える何かをしていかないといけません」

 日本のセパタクローにとって、金メダルはゴールだろうか。おそらく違う。愛知・名古屋アジア大会までの1年をどう過ごすか。真の価値は、そこで決まる。

 彼らの挑戦は、まだ終わらない。

◆セパタクロー日本一決定戦!「駒沢を埋め尽くせ」

平野杯 第36回全日本セパタクロー選手権大会

日時:2025年12月27日(土)、28日(日)

場所:駒沢屋内競技場

日本セパタクロー協会HP>>

【写真】世界一になったセパタクロー男子日本代表 フォトギャラリー

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