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【高校野球】高川学園躍進のワケ 全面人工芝、LED照明、ウエイトルーム...プロ顔負けの設備の全貌

  • 内田勝治●文 text by Uchida Katsuharu

令和の強豪校・高川学園〜躍進の理由(後編)

 山口県の高川学園高野球部は、今夏の甲子園で過去最高の16強、今秋の国民スポーツ大会では準優勝と躍進を遂げた。

 1911年創部と歴史は古いが、前身の多々良学園時代、甲子園出場は1984年春の選抜の1度のみ。2005年、徳島県を拠点に学習塾経営などを手がける株式会社タカガワに経営を譲渡し、翌2006年に現校名となると、2016年夏、2021年夏、そして今夏と10年で3度、山口の頂点に立った。

プロ顔負けの設備を誇る高川学園 photo by Uchida Katsuharuプロ顔負けの設備を誇る高川学園 photo by Uchida Katsuharuこの記事に関連する写真を見る

【全面人工芝の専用グラウンド】

 驚くのはプロ並みの設備面だ。2020年、専用グラウンドを全面人工芝へとリニューアル。バックネット裏の本部席上に約130席の観覧席を設置し、電光掲示板へと生まれ変わったバックスクリーンには球速も表示される。ウエイトルームも近く2000万円ほどをかけて新設する予定だという。

 野球以外でのケアや食育にも力を入れている。週に一度、ピラティスのインストラクターを招き、ケガ予防とパフォーマンス向上のためのエクササイズを取り入れたことで、腰痛などのケガが激減した。

 寮生活では、ひとり1日7合(朝2合、昼2合、夜3合)の白飯を食べることがノルマ。メインのおかず以外はバイキング形式になっており、自分自身で自由に選ぶことができる。米などの食料品の価格が高騰を続けるなか、学校の援助や、地域の差し入れなど、多くの協力もあり、思う存分お腹を満たすことが可能だ。

 2019年冬からチームの指揮を執る松本祐一郎監督は、3学年79名の選手たちに「この環境は当たり前じゃないで!」と口癖のように伝えることを忘れない。

「なにか目指したいものがあればとことん頑張ることができる場所なので、羨ましい限りです。LEDのナイター照明も完備されているので、選手たちは自由に自主練習を行なうことができます、(引退した)3年生も出てきてくれるんです。そこがひとつの強さにつながっているのではないでしょうか。学校側の援助や先生方の応援、周囲の協力など、さまざまな要素がかみ合って、選手たちは成長しやすい環境下にいるのだと思っています」

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著者プロフィール

  • 内田勝治

    内田勝治 (うちだ・かつはる)

    1979年9月10日、福岡県生まれ。東筑高校で96年夏の甲子園出場。立教大学では00年秋の東京六大学野球リーグ打撃ランク3位。スポーツニッポン新聞社でプロ野球担当記者(横浜、西武など)や整理記者を務めたのち独立。株式会社ウィンヒットを設立し、執筆業やスポーツウェブサイト運営、スポーツビジネス全般を行なう

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