最強王者にうんざり?全米がスーパーボウルでイーグルスを判官びいき (3ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

 ブレイディが「史上最高のQB」と呼ばれる理由のひとつは、その勝負強さにある。前出のジャガーズ戦では第4クォーターに10点差をひっくり返してみせたのだが、ポストシーズンにおいてブレイディが第4クォーターで10点差以上のビハインドから逆転したのは4度目。こんな劇的なことを複数回も達成しているのはNFL史上ブレイディしかおらず、今年40歳になっても勝負強さに衰えは見られない。

 ただ、イーグルスの守備ラインはリーグ屈指のユニットを誇っている。特にDT(ディフェンシブタックル)フレッチャー・コックスとDE(ディフェンシブエンド)ブランドン・グラハムは、近年のNFLでもっとも止められないパスラッシュデュオのひとつだ。

 しかも、イーグルスの守備ラインは選手層が厚い。試合時間の60分間、常に選手の体力をフレッシュな状態に保っておけるため、試合終盤にガス欠になって足が動かなくなることもないだろう。

 一方、イーグルスはオフェンス面も上昇機運にある。カギとなるのは、フォールズがいかにランパスオプションを機能させることができるかだ。

 ランパスオプションとは、QBがRB(ランニングバック)にボールをハンドオフするランプレーと見せかけ、相手ディフェンスの動き次第でパスプレーにスイッチするという戦術のこと。通常はボールがスナップされる前にランプレーかパスプレーかを決めているが、このオプションを用いるとディフェンス陣は反応しづらく、相手のプレーの速度を遅らせる効果がある。

 フォールズは2012年から2014年にかけて、イーグルスに在籍していた過去を持つ。チップ・ケリー前HCはこのオプションプレーを多用して成功を収め、フォールズもその活躍が認められてプロボウルに選出された。

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