【Bリーグ】琉球はなぜチャンピオンシップに強いのか? 「逆算思考」と「守備強度」が象徴するレギュラーシーズンとの違い (4ページ目)
【目の前のことに120%を注ぐ岸本の変化】
桶谷HCは、CSで強さを発揮する理由について、CS経験の深い選手たちの名前を挙げたうえで、「一番は、冷静でいられるところだと思います」とも語った。さらに続きがある。
「シュート1本を決めて『うわぁ』じゃないんですよ。この世界って。勝負どころで冷徹にならないと、相手を倒せない。このチームはそれを知っています。ファイトしながら、冷静に戦うことがCSには必要です」
RS最終盤で負傷離脱した昨シーズンを除き、これまで8回のCSでコートに立ってきた百戦錬磨の岸本も、同じような認識を持つ。
「CSはひとつのことにとらわれていたら終わってしまいます。いいプレーをしても、望まないプレーをしても、いかに次のプレーに集中できるかが大事。むしろ、そこしかないくらい。そういった部分が、自分たちの冷静さ、CSの独特な戦い方につながっているのだと思います」
感情の動きに左右されず、一つひとつのプレーに100%、時には120%の力を注ぐ。この思考は、CSでの岸本にある変化をもたらしている。ディフェンス強度の向上だ。
普段はオフェンスの司令塔としての役割により力を注ぐが、本人も「正直、そこ(ディフェンス強度)はレギュラーシーズンとは違うと思っています。ベンチワークなど見えない部分も含め、みんながハードワークしないと勝てないという思いがあります」と言う。
クォーターファイナルでは三河のガード陣にプレッシャーをかけ続け、第2戦終盤にはバックコートバイオレーションを誘発。その後、勝利を引き寄せる値千金の3ポイントシュートを自ら沈めた。一連のクラッチプレーは、まさに冷徹そのものだった。
長丁場のRSで積み重ねてきた、CSで勝つために必要な強度、そして分厚い経験に裏打ちされた冷静さ。その基準がチーム全体で共有できているからこそ、琉球は今年もまた、CSで「危険なチーム」になっているのだろう。
著者プロフィール
長嶺真輝 (ながみね・まき)
沖縄在住のスポーツライター。沖縄の地方新聞社の記者時代に東京五輪、Bリーグを担当。現在はバスケットボールや高校野球を中心に各競技を取材し、雑誌やWEB媒体などで記事を執筆。「日本バスケの革命と言われた男」(双葉社、沖縄書店大賞優秀賞)の取材・文担当。
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