「NBAダンサーは夢の仕事」 ウォリアーズを盛り上げる日本人女性たちに直撃インタビュー
NBAダンサー・宮野茉莉さん 高橋南保子さん インタビュー
レイカーズの八村塁に加え、グリズリーズから河村勇輝がデビューし、日本のバスケットボールファンのNBA熱が高まっている。そんななか、NBAを盛り上げる日本人ダンサーがいることを知っているだろうか。今回、ゴールデンステイト・ウォリアーズのダンサーである宮野茉莉さんと高橋南保子さんに、本拠地チェース・センターで直撃インタビューを行なった。
ウォリアーズ・ダンスチームで活躍している宮野茉莉さん(右)と高橋南保子さん(左) photo by Tominaga Harukaこの記事に関連する写真を見る
【直感的に惹かれたウォリアーズ・ダンスチーム】
宮野茉莉さんは、玉川学園高等部チアダンス部、玉川大学体育会ダンスドリルチームの出身。在学中は、全米学生選手権や世界大学選手権で優勝した実績を持つ。大学卒業後、Bリーグ専属チアリーダーなどとして活動。そうしたなか、チアリーディングの本場アメリカへの夢が膨らみ、NBAダンサーを目指した。
そして2022−2023シーズン、ウォリアーズ・ダンスチームの難関オーディションに初めて合格すると、今季再度オーディションを通過し、2季ぶりにチームに戻ってきた。
さらに今季、ウォリアーズ・ダンスチームのルーキーとして宮野さんの玉川学園高等部の2学年下の後輩・高橋南保子さんが仲間入りした。高橋さんは日本女子体育大学時代には世界選手権に2度出場し、優勝を1度経験している。
大学卒業後は、日本で中学・高校の非常勤講師をしながら、Bリーグでチアリーダーとして2シーズン活動。母校のチアダンス部の指導も行なった。高橋さんは、NBAダンサーとして活躍していた先輩・宮野さんの姿を見て、「キラキラした姿に憧れた」と自身もNBAダンサーを志したのだ。
NBAは計30チームあり、ダンスチームのカラーもそれぞれ。「言葉で表現するのは難しいけれど、ウォリアーズ・ダンスチームはダンスもチームもとても魅力的で、一瞬にして惹きこまれていきました」と宮野さんは語る。
ウォリアーズは、サンフランシスコに本拠地があり、NBAで過去7回の優勝を誇る強豪だ。2024年パリ五輪でアメリカの金メダルに貢献したステフィン・カリーが在籍する。
宮野さんは、大学を卒業して間もない頃、ウォリアーズ・ダンスチームのオーディション前に開催されるプレップ・クラス(準備クラス)にオンラインで参加。チームの魅力を感じ、「いつかメンバーになりたい」と英語やダンススキルを磨いてきた。
「ひとつのジャンルに捉われず、豊かなジャンルのダンスに挑戦できるのがウォリアーズ・ダンスチームの魅力で、直感的に惹かれました。私自身、学生の頃からヒップホップやジャズ、ポンダンス、クラッシックバレエを基礎とした『リリカル』を踊ってきたので、経験を生かせると感じたんです」と宮野さんは話す。
一方、高橋さんも「初めて見た時から素敵なチームだと感じました。ダンスからチームの温かさを感じ、心が奪われました」とうなずく。
「チアリーダーは、パフォーマンスをしながら会場が一体となる空間をつくり上げ、人の心を動かすことのできる仕事。試合を見に来ているファンの皆さんからの温かい声援とともに、選手を含む全員と団結できた時は、大きな達成感があります。大学卒業後、一時期はチアリーダーとは別の道に行こうと思いましたが、Bリーグで活動するなか、あらためてチアリーダーこそが自分がやりたかったことだと感じました。
プレップクラスに参加し、『自分らしく楽しんで!』とコーチが常に声をかけてくれたこと、大好きなダンスを通じて仲間とつながれたことで、このチームに入りたいと、さらに強く思いました」と高橋さんは話す。
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著者プロフィール
富永 遥 (とみなが・はるか)
1988年、北海道苫小牧市生まれ。旧姓は髙嶌。アイスホッケー元日本代表として、世界選手権やオリンピック最終予選に出場。早稲田大スポーツ科学部卒業後は、スイスとドイツのトップリーグでプレーした。現役引退後は三菱電機に就職し、日本オリンピック委員会へ出向。その後、スポーツ業界へ転職し、早稲田大競技スポーツセンター、日本スポーツ振興センター、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に勤務のほか、五輪でアイスホッケーのゲストスタジオ解説を務めた。2021年よりアメリカ・カリフォルニア州在住。漫画『ピーナッツ』の作家・シュルツ家が設立した「Snoopy's Home Ice」で、スケーティングコーチとして活動している。また、アメリカで活躍するアスリートやスポーツ関係者への取材を通して次世代を応援する記事の執筆を目指している。