検索

バスケ日本代表の成長株・ジェイコブス晶がNCAA2年目で探求するスタイルとは?

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko

ジェイコブスはハワイ大2年目のシーズンの今季、さらなる成長を見せている photo by University of Hawaii Athleticsジェイコブスはハワイ大2年目のシーズンの今季、さらなる成長を見せている photo by University of Hawaii Athletics

前編:男子バスケ・ジェイコブス晶インタビュー

 NCAAディビジョンIのハワイ大に入って2年目のジェイコブス晶。昨季も後半はローテーション入りしていたが、今季はさらに出場時間が増え、チーム内での役割も大きくなるなか、自分のスタイルを見つけ、選手としての進化を続けている。

 1月9日のカリフォルニア大リバーサイド校との試合では、22分出場して12得点をあげたのに加え、勝負どころではディフェンスでの貢献も大きかった。その2日後、1月11日のカリフォルニア州立大フラトン校との試合では自己最長の31分間出場し、14点、4リバウンドの活躍で、再び勝利に貢献した。

 ハワイ大のヘッドコーチ(HC)、エラン・ガノットは、ジェイコブスについて「まさに進化という言葉がぴったり。ひと晩で変わるわけではないけれど、確実に成長を見せている。シュート力は前から持っていたけれど、前の試合(1月9日のカリフォルニア大リバーサイド校との試合)では、勝利につながるプレーをしていた。タフなプレーを決め、ディフェンスでもチームを助けていた」と称賛した。

 ジェイコブスにガノットHCの言葉を伝えると、小さくガッツポーズ。シューターとして知られる彼だが、ハッスルプレーやディフェンスなど、シュートのようにその日の調子に左右されない部分を、特に心がけているのだという。

 そんなジェイコブスに、前編ではNCAA2シーズン目の手応えや現在心がけていることについて、後編では去年夏のパリ五輪での経験について、そして1月11日の試合で対戦したU19日本代表時代のチームメイト、ロロ・ルドルフなどNCAAでプレーする日本人選手仲間のことや、後に続く選手たちへのアドバイスを聞いた。

【「ハッスルプレーをすれば自分のエネルギーも上がってくる」】

──2年目のNCAAシーズンが始まって16試合(アメリカ時間1月11日時点)を終えましたが、手応えはどうですか?

「いい試合と悪い試合の差がありすぎるのは、ちょっと(課題と)思っていて。シュートが入る、入らないというより、最初の何試合かで、細かいハッスルとか、毎試合できることをやっていなかった試合が多かったと思うんですね。リバウンドとか、ハッスルプレーがちょっと少ないなと。

 最近はもう少し集中して活躍はできるようになりました。ハッスルプレーをすれば自分のエネルギーも上がって、シュートが入るチャンスがもっと上がる。そういうことを、もっとうまくやれると思います」

──今季のチームは、新しく入ってきたシニア(4年生)やグラジュエイト(出場資格を持った大学院生)の上級生たちが大半だそうですね。その点、2年生といえども、昨季からこのチームでやっているジェイコブス選手へのコーチからの期待も大きいように感じました。

「今は1月になってみんなシステムに慣れたんですけど、シーズン序盤は半分以上の選手がチームのシステムをわからないままプレーしていた感じでした。そういうなかで1年間、このシステムでやってきたので、自分がリーダーシップを取って、いろいろ教えながらやっていました。今はもう、結構みんな慣れてきましたけれど」

──今季、チーム内での役割は何ですか?

「もちろんシューターっていうのはあるんですけど、ウイングとしてはちょっとサイズがあるので、インサイドのスコアリングも増やしたりしています。あと腕が長いので、ディフェンスを頑張るところも期待されていますね。

 あとは、やっぱりチームにエネルギーを与えること。僕はコートにいても、入ってなくても、チームを応援する好きです。それは期待されてるというより、僕自身が好きなので、できるだけ頑張ってやっています」

──昨シーズンは、3番(スモールフォワード)をやるにはスピードが足りなくて、4番(パワーフォワード)をやるには力が足りないと言っていましたが、今シーズン、その課題はどうですか?

「だいぶよくはなってきていますが、自分がいたいところ(目標とする場所)にはまだいない。ウェイトトレーニングだけでなく、試合の経験もすごく大きいと思うんですよ。

 3番だと(マッチアップする相手は)ほとんど速いガードですが、まだスピードが足りなくても、慣れると早めに動いたり、次の(動きへの)アジャストメントがわかるようになるので、そういうところではすごくよくなっていると思います。

 力のほうは、相手の4番にはそこまでやられてはいないと思います。これは、夏の間に日本代表の活動で大学より強い相手と対戦したことで、すごくよくなったと思います」

1 / 2

著者プロフィール

  • 宮地陽子

    宮地陽子 (みやじ・ようこ)

    スポーツライター。東京都出身。アメリカを拠点にNBA取材歴30年余。アメリカで活動する日本人選手やバスケットボール国際大会も取材。著書に『The Man〜 マイケル・ジョーダン・ストーリー完結編』(日本文化出版)、編書に田臥勇太著『Never Too Late 今からでも遅くない』(日本文化出版)、2023年1月発売の共著に『スラムダンク奨学生インタビュー その先の世界へ』(集英社)。

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る