八村塁がレイカーズで受け継ぐ「マンバ・メンタリティ」。コービーは今もみんなのなかで生き続けている (2ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by Getty Images

【コービーが伝えたかったこと】

 その後、テイタムはコービーから「夏にLAに来ることがあって、もしワークアウトをしたいようなら連絡をくれ」というメッセージをもらったという。この頃のコービーは、次世代の若手選手たちに自分が学んだ細かなスキル、知識、メンタリティなどを伝えようとしていたのだ。

 憧れの選手からの誘いにテイタムが乗らないわけはなかった。夏にロサンゼルスに着くと、すぐに連絡したという。

「小さい時にテレビでコービーを見て『彼のようになりたい。だからバスケットボールが大好きなんだ』と思っていた。20歳になった自分が、その彼と1対1で交流することになるとは思いもよらなかった。あの時、彼と練習していろいろなことを学んだ時間は、息子が生まれた時に次いで人生のなかで最高の日だったと言える」

 テイタムはコービーが亡くなったあと、左足に"ブラックマンバ"(コービーのあだ名)が24(コービーの背番号)をかたどったタトゥーを入れている。コービーからの数々の教えのなかでも『マンバ・メンタリティ』は、今のテイタムにも大きな影響を与えたのだ。

 別のポッドキャスト番組(『ビヨンド・ザ・プラス』)でテイタムは、コービーから学んだメンテリティについてこう語っている。

「ある日、彼から『それは君にとって、どれだけ重要なことか?』と聞かれた。そう言われたことで、広い視野で考えることができるようになった。グレートであること、あるいはチャンピオンになること、それが自分にとってどれだけ大きな意味を持っているのか」

「(それを実現するために)何をあきらめることができるのか? 何を犠牲にできるのか? そういったこと、すべてを教わった。彼はそういった生き方をしていた」

 テイタムはどちらかというと物静かで、コービーのように内なる自信や主張をガンガンと外に出してくるタイプではない。それでも、内面での思いは同じように熱く、自信も揺らぎない。そういった気持ちを持ち続けていいのだ、ということをコービーから学んだ。

「チャンピオンになりたい。MVPになりたい。史上最高の選手のひとり、殿堂入りする選手になりたい。そういった目標に向けて、今、努力しているところだ」

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