富樫勇樹28歳167cmと河村勇輝21歳172cm。バスケ日本代表「ふたりのユーキ」の正ポイントガード争い

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

「昨日のあの試合のMVPは彼じゃないかと思います」

 7月中旬からインドネシアで開催されているFIBAアジアカップ。日本は初戦でカザフスタンを下して白星スタートをきったが、一夜明けた取材対応の場で渡邊雄太は試合をそう振り返った。

「彼」とは今年、A代表デビューを果たした河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)のことだ。ベンチスタートとなったこの試合。新鋭は8得点、8アシストを挙げ、勝利に貢献した。

アジアカップで存在感を示した21歳の河村勇輝アジアカップで存在感を示した21歳の河村勇輝この記事に関連する写真を見る いや、「勝利に貢献した」ではそのインパクトは十全に伝わらない。このカザフスタン戦、日本はディフェンスが機能せず相手に48点もの失点をしたことで、3点のビハインドを背負って前半を終えた。

 しかし、この流れを一気に変えたのが、第3クォーター終盤に相手選手に密着しながらの激しいディフェンスから2本連続でスティールから得点を決めた河村だった。一気に勢いを得た日本はその後、前半の苦戦が嘘のように点差を広げ、100−68で大勝を収めた。

 21歳の活力あふれるプレーぶりに、トム・ホーバスHCも脱帽の様子だった。

「河村選手のディフェンスでのボールへのプレッシャーはすごかった。相手が全然ボールを運べなくて、オフェンスのリズムを崩していました。渡邊選手や経験のある選手たちもあの若い選手のバスケを見て、モチベーションが上がったと思います」(ホーバスHC)

 その後、日本は準々決勝でオーストラリアに敗れて、ベスト8に終わった。だが、河村や富永啓生(ネブラスカ大)ら若手の成長と活躍も目立った、意味のある大会となった。

 そのなかでも、今後のポイントガード陣の争いに、河村の活躍ぶりが拍車をかけることになるのは間違いない。来年にはワールドカップ、そしてその翌年にはパリオリンピックが控えるなか、とりわけ注目となるのが河村と富樫勇樹(千葉ジェッツ)の"ふたりのユーキ"から目が離せない。

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