富樫勇樹28歳167cmと河村勇輝21歳172cm。バスケ日本代表「ふたりのユーキ」の正ポイントガード争い (2ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

スタイルの異なる富樫と河村

 河村は7月頭のFIBAワールドカップ・アジア予選でA代表デビューを果たしている。この時、富樫は出場していなかったため、今回のアジアカップがふたり同時にロスター入りする初の機会となった。

 富樫が167cm、河村が172cmと、海外ではもちろんのこと、日本国内ですら相当な小兵とされる身長のふたりだ。

 だが、プレースタイルは異なっていて、それぞれに類まれな才能を発揮するだけに、代表チームに戦術的な幅を持たせる。富樫は積極的にドライブや3Pで得点を狙う「現代的なPG」であるのに対し、河村の場合はまずパスを供給する相手をさがすところから入る「クラシカルなスタイル」と言える。

 今回のアジアカップでも、カザフスタン戦では冒頭に記したように、まず河村が視野の広さと卓越したパスセンス、そしてディフェンス力で圧倒的な光を放った。

 しかし富樫も負けておらず、準々決勝進出を賭けたフィリピン戦では3Pを7本中5本の確率で決めるなど、チームトップの18得点、6アシストを記録。最後のオーストラリア戦でも渡邊を故障で欠くなか、要所で3Pを沈めて14得点、5アシストをマークし、好試合を演出した。

 今大会、富樫は平均9得点、5アシスト。河村は4.4得点、4.4アシスト。平均出場時間は富樫が19.2分で、河村が11.7分。これを40分フル出場したと仮定すると、富樫は平均18.8得点、10.4アシスト。河村は得点、アシストともに14.9となる。単純な計算ではあるが、これを見ても富樫がより得点型で、河村がアシスト型だとわかる。

 いずれにしてもアジアカップでの両選手は、それぞれのカラーで躍動したと評価できるだろう。ゆくゆくは「そうなるだろう」とわかってはいたものの、ふたりが代表の正PGを争う時期は存外早くやってきた。

 2020年1月下旬。当時まだ福岡第一高校の3年生だった河村は、特別指定選手制度を使って三遠ネオフェニックスでBリーグデビューを果たした。この時の対戦相手が、富樫のジェッツだった。

 河村は前年のシーズンMVP富樫を相手にまったく怯むこともなく、まだ高校生とは思えないほどの活躍ぶりで、見る者に鮮烈な存在感を示した。

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