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【F1】角田裕毅は飛ぶように速かった! 表彰台のチャンスを逃すも予選3位の快走にセナの姿を見た (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【やり遂げたことを誇りに思っていい】

 赤旗が出たことでコンディションの回復を待つ時間ができ、ウェットタイヤに交換したRB勢のメリットはなくなってしまった。

 そしてステイアウトしていた上位勢も、この赤旗中断の間に新品タイヤへ交換することができ、角田やラッセル、ノリスらはただ単に早めのピットインで順位を落としただけになってしまった。

 その後はローソンがセルジオ・ペレス(レッドブル)とルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)を抑え、角田は8位でフィニッシュ。前のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)がペナルティで降格となったことで7位入賞を得た。

 しかし、表彰台が見えていただけに、入賞の喜びよりも落胆のほうが大きいレースになってしまった。

「裕毅、君の気持ちはよくわかるよ。トリッキーな1日だった。でも予選から決勝まで、君は今日、自分がやり遂げたことを誇りに思っていいんだ。表彰台はまた次の機会だ」

 レースエンジニアのエルネスト・デジデリオが、チェッカードフラッグを受けた角田に優しく語りかけた。

「今日はもっと多くを期待していたんだ......次は掴み獲りたい」

「そうだね、次は絶対にそうしよう」

 アイルトン・セナが見守る30年目のサンパウロGPは、それに後押しされるようにレッドブル・ホンダのフェルスタッペンが久々の勝利を飾り、セナらしい雨のなかで角田が予選3位の快走を見せた。

 決勝で結果を勝ち獲る力はまだなかったが、このブラジルで速さを見せたという自信と、目前で指の間からこぼれ落ちた表彰台までの距離を知ったことが、角田とRBをさらにもっと強く成長させるはずだ。

著者プロフィール

  • 米家峰起

    米家峰起 (よねや・みねおき)

    F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。

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