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【F1】角田裕毅は飛ぶように速かった! 表彰台のチャンスを逃すも予選3位の快走にセナの姿を見た (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【「だから言ったじゃないか!」】

 ウェットタイヤに履き替えた角田は、同じ周にインターミディエイトに換えたノリスやラッセルより10秒も速いペースで走り、あっという間に追い着こうとした。

 このペースなら彼らを追い抜き、さらに前でコース上に留まったフェルスタッペンとアルピーヌ勢にも追い着き、追い抜いて、もう一度タイヤを戻すための20秒を稼いでこられるかもしれない。

 そう思った矢先、セーフティカーが導入された。

 同レベルの雨が降った土曜午後に予選が開催できなかったように、エクストリームウェザー用のウェットタイヤでもストレート区間でアクアプレーニング現象が起きて、スロットルを全開にできないような状況だったからだ。当然ながら跳ね上げる水しぶきの量も多くなり、視界不良の問題も生じたためだ。

オーバーテイクショーは先延ばしになり、ウェットタイヤが速さを発揮できる周回数も減ることにはなった。だが、それでもトップとのギャップは詰まり、まだチャンスはあったはずだった。リスタートではインターミディエイトよりも温まりのいいウェットタイヤが有利であり、前走車たちを一網打尽にする姿も想像できた。

 だが、フランコ・コラピント(ウイリアムズ)がターン13の"深い川"に足もとをすくわれてクラッシュし、レースは赤旗中断。

「だから言ったじゃないか!」

 ステイアウトを提案しながらもチームの指示でピットインしていたラッセルは、戦略ミスに声を荒げた。

 逆に、チームからの指示をさえぎる形で自身の判断でピットに飛び込んだ角田は、この時点で6位まで順位を下げてしまったことに肩を落とした。

「もし赤旗が出ていなければ、おそらくどこかの時点でかなりのマシンを抜いていくことはできたと思いますし、いずれトップに立てていたかもしれません。ウェットタイヤへの交換はよかったと思いますけど、ただ単にセーフティカーと赤旗が出たのが僕らにとっては、ものすごくマイナスになってしまいました」

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