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F1ウィリアムズ育成に13歳・松井沙麗が大抜擢 「ノリと勢いで何とか残れて」幼少期から厳しい父と二人三脚 (4ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 村上庄吾●撮影 photo by Murakami Shogo

【最終選考で「これはまずいなあ......」】

ーー「ガールズ・オン・トラック」では8名のジュニアドライバーからファイナリスト4名に選ばれ、今度はフェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)による最終選考「FDAカート/F4スカウティングキャンプ」に進みました。実力を出しきれましたか?

沙麗 最終選考でイタリアのフェラーリに行って、これはまずいなあと初めて思いました。私は速さでは負けていない自信はあったのですが、最終選考に残った全員のレベルがすごく高かった。

 言葉の問題もあって自分の思いどおりにセッティングができなかったこともあり、このままではダメかも......と思いました。実際、最終選考で落ちてしまいました。

ーー最終選考に合格できませんでしたが、実力が評価され、ウィリアムズの採用につながったんですね。

沙麗 そうですね。ファイナリストのなかで私以外の3人は、フェラーリやアルピーヌ(ルノー)の育成ドライバーになったり、フォーミュラの道に進んだりしています。そして私はウィリアムズから声がかかりました。

撮影後には「モデルさんになったみたいで楽しい」と中学生らしい笑顔を見せた撮影後には「モデルさんになったみたいで楽しい」と中学生らしい笑顔を見せたこの記事に関連する写真を見る

ーーウィリアムズからはいつぐらいにコンタクトがあったのですか?

広史 昨年5月ごろに「テストに来ないか」と声がかかり、9月にACIイタリア選手権に出場することになりました。ヨーロッパの初レースとなりましたが、予選を通過して決勝に進みました。決勝の順位は下のほうでしたが、初めてのヨーロッパのレースでも適応できていると評価していただけました。

 その後、12月に(アラブ首長国連邦)アブダビで開催されるレースがあるから来ないかと誘われました。F1アカデミーがサポートするカートレース「チャンピオンズ・オブ・ザ・フューチャー・アカデミー」のOK-N ジュニアクラス2レースに出場して、6位と8位でした。

 シリーズポイントは24人中8位だったのですが、各クラスの女子の上位3人をF1アカデミーがサポートすることになっていて、最上位はメルセデスの育成ドライバーに選ばれたルナ・フルクサ選手(13歳)で、その次が沙麗でした。それでウィリアムズに選ばれたんだと思います。

ーー後編では、沙麗さんの今シーズンの目標や将来の夢を聞いていきます。

6月1日公開:後編<「速さは予想より差はない」F1ウィリアムズ育成の松井沙麗(13歳)が踏み出した世界への挑戦「ヨーロッパのレースのほうが楽しい」>を読む

撮影協力/オートパラダイス御殿場

【プロフィール】
松井 沙麗 まつい・さら 
2010年、東京都生まれ。父親の影響で5歳からカートを始め、6歳でレースデビュー。2024年1月にウィリアムズのドライバー育成プログラム「ウイリアムズ・ドライバー・アカデミー」の一員に抜てきされた。2024年は、ウィリアムズから委託を受けるイタリアのカートリパブリック(KR)のワークスチームからFIAカート世界選手権や「チャンピオンズ・オブ・ザ・フューチャー・アカデミー」などに参戦する。

著者プロフィール

  • 川原田 剛

    川原田 剛 (かわらだ・つよし)

    1991年からF1専門誌で編集者として働き始め、その後フリーランスのライターとして独立。一般誌やスポーツ専門誌にモータースポーツの記事を執筆。現在は『週刊プレイボーイ』で連載「堂本光一 コンマ1秒の恍惚」を担当。スポーツ総合雑誌『webスポルティーバ』をはじめ、さまざまな媒体でスポーツやエンターテイメントの世界で活躍する人物のインタビュー記事を手がけている。

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