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F1ウィリアムズ育成に13歳・松井沙麗が大抜擢 「ノリと勢いで何とか残れて」幼少期から厳しい父と二人三脚 (2ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 村上庄吾●撮影 photo by Murakami Shogo

【幼少期から親子二人三脚...現実的な父の言葉も】

ーーレースを始めてから、ここまで大きな壁にぶち当たることなく、順調にステップアップしてきましたか?

沙麗 毎年、壁だらけです(笑)。やっぱりステップアップするとレベルが上がりますし、ドライバーの顔ぶれが変わります。選手によって抜くのが上手だったり、スピードが速かったり、それぞれ特徴があって、走り方や戦い方を毎年合わせていくのは大変でした。

 でも、壁にぶつかってもやめたいと思ったことはありません。楽しいから続けていきたいという思いで、ここまできました。

広史 私はけっこう厳しく接しましたが、沙麗本人が「レースをやめたい」と言ったことは一度もないです。自分で怒っておいて言うのもなんですが、よくやめなかったと思います(笑)。自分もレースをしていたので、ついイライラしてしまうんですよね。

 今は反省していますが、「そこで抜け。何をやっているんだ!」って、ピットに帰ってきた時に怒ったり......。

松井のレース活動をサポートし続けている父の広史さん松井のレース活動をサポートし続けている父の広史さんこの記事に関連する写真を見る

沙麗 お父さんに怒られてやめようかなと心のなかで思ったことは何度もあります(笑)。でもレーサーになる夢の実現のためには、我慢しなければならないと思っていました。逆にお父さんが「もうレースをやめよう」と言ったことは数えきれないぐらいありました。

広史 ありましたね(笑)。小学2〜3年生の頃が一番多かったかな。それ以上になると、本人が頑張ってドライビングを改善してくれたので、技術に関してはほとんど何も言っていません。むしろ私がずっと言っていたのは、「うちでサポートできるのはカートまで」ということです。

 沙麗にこう伝えました。うちはお金持ちじゃないので、プロを目指してカートから先、四輪でレースをしたいのであれば、自分でスポンサーを見つけてね。それができなければプロにはなれない。レーシングドライバーは速ければなれるんじゃないんだよ。活動資金をサポートしてくれるスポンサーを見つけられるだけの人間的な魅力がなければ、レースを続けるのは無理だから。そういう世界だけど本当にやる気ある? と言い続けてきました。

ーー小学生の頃からそう言われてきて、どう思いましたか?

沙麗 当時はあまりわからなかったですが、最近はその意味がわかってきました。今、スポンサーさんが1社だけついてくれていますので、これからもっと多くの方にサポートしていただけるように頑張ります。

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