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「アイルトン・セナほど人間的な魅力にあふれるドライバーはいない」F1カメラマン・熱田護の心残りは「独占写真のフィルムを盗まれ...」 (4ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 熱田 護●撮影 photo by Atsuta Mamoru

【人間的な魅力にあふれる無二のドライバー】

 ドライバーの能力だけで言えば、セナはフェルスタッペンに負けているかもしれません。体力的にも当時のライバルだったプロストやマンセルに比べて劣っていたと思います。

 でもヘロヘロになってマシンから出られないという姿も絵になりました。時代もあったと思いますが、悲壮感の漂う表情で、ひたむきにマシンを走らせている姿が魅力的に映りました。

 2024年はセナがこの世を去ってから30年の節目を迎えるので、メモリアル写真集『Ayrton』を発売することになりました。そのために当時のポジフィルムを見直しましたが、あらためてカッコいいなと思いました。

 セナが亡くなったあと、カメラマンとして心から夢中になれるドライバーは出てきていません。

 ルックスだけで言えば、キミ・ライコネンやシャルル・ルクレールなど、セナよりもカッコいいドライバーはいます。でも、セナのような速さとひたむきさ、勝利にこだわる執念などを兼ね備え、人間的な魅力にあふれるドライバーはいません。

 セナは唯一無二の存在でした。

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【プロフィール】
熱田 護 あつた・まもる
1963年、三重県鈴鹿市生まれ。2輪の世界GPを転戦したのち、1991年よりフリーカメラマンとしてF1の撮影を開始。取材500戦を超える日本を代表するF1カメラマンのひとり。5月31日にアイルトン・セナのメモリアル写真集『Ayrton』(インプレス/36,000円)を発売予定。専用ケース入りの大型写真集で999部の限定販売。

著者プロフィール

  • 川原田 剛

    川原田 剛 (かわらだ・つよし)

    1991年からF1専門誌で編集者として働き始め、その後フリーランスのライターとして独立。一般誌やスポーツ専門誌にモータースポーツの記事を執筆。現在は『週刊プレイボーイ』で連載「堂本光一 コンマ1秒の恍惚」を担当。スポーツ総合雑誌『webスポルティーバ』をはじめ、さまざまな媒体でスポーツやエンターテイメントの世界で活躍する人物のインタビュー記事を手がけている。

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