「非常にアンフェア。バカバカしいペナルティ」角田裕毅の言い分をなぜFIAは聞かないのか...アルファタウリにも落ち度? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【同じ案件は何度も起きていた】

 現在のF1のルールに照らし合わせれば、ターン1のエイペックス(頂点)で2台が並んでいた場合は、その先もお互いに1台分のスペースを残しながらバトルをしなければならない。しかし、角田の車載映像を見れば、ステアリングを切ってもそれ以上曲がっていけず、走行ラインはコーナーのアウト側ギリギリまで行ってしまっている。

 これは、ルール上は「アウト」だ。周冠宇がシミュレーションをしていようといまいと関係なく、並んだ相手にスペースを残さなかったことに変わりはない。

 このペナルティ自体は、ルールに照らし合わせれば妥当なものだと言える。ただ問題は、このターン1で同じようなインシデント(審議案件)が何度も起きており、それらは見逃されていたということだ。

 スタート直後のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)も、カルロス・サインツ(フェラーリ)に対してスペースは残していない。4周目のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)もケビン・マグヌッセン(ハース)を押し出している。F2のレースでも同様のインシデントは多数あった。

 審議対象となればペナルティが科されるはずなのに、審議の対象とならずに見逃されているものが多数ある。トラックリミット違反の見落としと同様に、問題は「ジャッジの一貫性」ではなく「取り締まりの不十分さ」だ。

 もちろん、「ほかの人もやっているから」という理由で角田のドライビングを正当化することはできない。FIAに求めるべきは、一貫した取り締まりの強化による公平性の向上だ。

 角田にも言い分はあり、もっと奥まで周冠宇が粘ってきたらスペースを残すつもりだったかもしれない。しかし、あの映像だけではそれを証明することはできないし、スチュワードはその映像だけを見てペナルティの裁定を下した。

「そのペナルティを撤回するために、チームとして抗議できないのかという気持ちもあります。いずれにしてもFIA(スチュワード)は何の議論もなく5秒ペナルティを科してそのままレースが終わってしまっているので、当事者と議論はすべきです。その点はアンフェアだと思います」

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