検索

井上尚弥から「おいおい!」と反論された中谷潤人のトレーナーがあらためて明言「ジュントを勝者にするため、できる限りのことをする」

  • 林壮一●取材・文 text & photo by Soichi Hayashi Sr.

【本格化する「イノウエに勝つため」の指導】

「ナオヤ・イノウエが、現時点でのパウンド・フォー・パウンドだと認めているし、心からリスペクトを払う。ただ、ジュントがベストな状態の彼に勝つことに意味がある。モハメド・アリ、マイク・タイソンなど、時代を築いた名チャンプは、誰も寄せつけないだけの比類なき強さを見せたよな。今のイノウエもそうさ。でも、どんなチャンピオンだって、世代交代を味わうことになる。

 ジュントがイノウエを下した時、『衰えていたから』なんて外野に言われたくない。だからこそ、私は早めに両者の対決が実現することを望んでいるんだ」

中谷(右)を指導するトレーナーのルディ氏中谷(右)を指導するトレーナーのルディ氏この記事に関連する写真を見る

 現地時間5月14日、WBCバンタム級チャンピオン、中谷潤人のコーチ、ルディ・エルナンデスはリトルトーキョーの一角にあるLAボクシングジムで、微笑みながらそう言った。

「すぐにでも、井上尚弥vs中谷潤人戦をやらせたい」という彼の発言がモンスターの耳に入り、WBA/WBC/IBF/WBOスーパーバンタム級チャンピオンは返す刀でXに以下の文を書き込んだ。

***

おいおい!!!ルディさん!!!

1年後も全盛期だ

言い訳なんかしない

誰も衰えちゃいないから

まだまだ上の景色を見に行く

以上

***

 ルディは、こうした井上の反応を楽しんでいるかのようだった。15歳の頃から手塩にかけて育ててきた教え子が、日本ボクシング史上最大の試合に挑もうとしているのだから当然である。

 井上が2023年7月25にスティーブン・フルトンを下して122パウンドの世界王座に就いた折、元WBCウエルター級11位のこのトレーナーは、モンスター戦について質問しても、のらりくらりとはぐらかしていた。しかし、この1年間、かなり具体的に「イノウエに勝つためには」という言葉を用いた指導を続けている。

1 / 4

著者プロフィール

  • 林壮一

    林壮一 (はやし・そういち)

    1969年生まれ。ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するもケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。ネバダ州立大学リノ校、東京大学大学院情報学環教育部にてジャーナリズムを学ぶ。アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(以上、光文社電子書籍)、『神様のリング』『進め! サムライブルー 世の中への扉』『ほめて伸ばすコーチング』(以上、講談社)などがある。

【写真】女優・ラウンドガール・格闘家の「三刀流」 宮原華音フォトギャラリー

キーワード

このページのトップに戻る