井上尚弥から「おいおい!」と反論された中谷潤人のトレーナーがあらためて明言「ジュントを勝者にするため、できる限りのことをする」 (3ページ目)
中谷のキャンプの特徴は、スパーリングの量と質にある。「ロープを背負った状態から」「徹底的に足でさばけ」「ジャブを多用しろ」「タイミングを考えてやれ」など、ラウンドごとに明確なテーマがある。
ルディは、「ジュントの能力を最大限に発揮するために、いろんなメニューを作っている」と胸を張る。また、このコーチは決してミット打ちをさせない。
「トレーナーが構えた場所にパンチを出すことが、実戦で役立つはずがない。相手は常に動き回るんだ。簡単に当てさせてくれないさ。それよりもスパーリングをこなすほうが、よっぽどためになる。シャドーとサンドバッグで追い込むメニューも課すがね」
ルディ氏は井上戦に向けた練習を中谷に課しているこの記事に関連する写真を見る
キャンプ時のトレーニングでは、師から告げられた課題を黙々とこなす中谷だが、昨今「試合で勝手に体が動く」という経験をしている。無の境地と呼べるのだろうか。15歳でルディと出会った日から、脇目も振らずに食らいつき、30戦全勝23KOで3階級を制した中谷。しかし、まったく満足せず、己のボクシングを高めることに集中する。
「最近、自分がやろうとしているボクシングが出せている実感があるんですよ。それがノックアウトに結びついているのかな」
【西田戦は「今まで積み上げてきたもののぶつかり合いになる」】
西田戦に向けて4月21日よりLAキャンプをスタートしたが、今回の中谷はいつになく、晴れ晴れとした表情を見せる。
「統一戦はずっと望んでいた、自分が求めていた舞台ですから、ひとつの大きなポイントとして注目してもらえるんじゃないかと感じています。思う存分、自分を表現したいという強い気持ちでリングに上がりますよ」
WBCバンタム級タイトル2度目の防衛に成功した直後、中谷は勝利者インタビューで他の3名の同級王者に統一戦を呼びかけた。だが、誰もすぐには乗ってこなかった。それは他のチャンピオンが、自身と中谷の力量差を理解していたからだ。西田が名乗りを上げ、ようやく舞台が整った。圧倒的不利の予想を立てられながらも、中谷との試合に合意したIBF王者には男気を感じる。
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