「非常にアンフェア。バカバカしいペナルティ」角田裕毅の言い分をなぜFIAは聞かないのか...アルファタウリにも落ち度? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【周冠宇のシミュレーション?】

 2回目のピットストップでオコンに対して先手を打ち、アンダーカットに成功してオコンの前に出た。マシンの実力に勝るオコンに抜き返されはしたものの、その後もタイヤのバイブレーションに苦しむオコンの背後について、タイヤをいたわりつつチャンスをうかがった。

 オコンのペースが上がらないためトレイン状態になり、やがてうしろの周冠宇も0.8秒ほどのギャップまで追いついてきた。だが、角田は毎周DRS(※)を使われてもストレートエンドで仕掛けさせない距離はしっかりと保って、巧みに状況をコントロールしていた。

※DRS=Drag Reduction Systemの略。追い抜きをしやすくなるドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制システム。

 だが、ピットストップで一時後退したフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)がこの3台を抜いていくなかでパワーバランスが微妙に崩れた。そのわずかな隙を突いて、55周目の最終コーナーから56周目のターン1でDRSを使い、角田の背後に迫ったのが周冠宇だった。

問題となった角田裕毅と周冠宇のバトル問題となった角田裕毅と周冠宇のバトルこの記事に関連する写真を見る ターン1でアウト側に並びかけサイドバイサイド状態で飛び込んだ周冠宇は、イン側の角田が譲らないと見るや、アウト側にステアリングを切ってランオフエリアに逃れた。深追いすれば接触のリスクがさらに高まるうえ、タイムロスも大きくなるのだから、それ自体は妥当な判断だ。

「僕は彼にスペースを残しました。彼はかなり早い段階で(ターンインするのを)あきらめて急にランオフエリアに飛び出していって、押し出されたように振る舞ったように感じました。

 もちろん、僕も彼に対してプレッシャーはかけていきましたが、でも、間違いなくアウト側にはまだスペースがありましたし、コース上にとどまることはできたと思うので、なぜこれでペナルティが科されるのか理解できません。非常にアンフェアで厳しすぎる裁定だと思います」

 あまりに早い段階での回避に、角田はサッカーで言うところの「シミュレーション」を疑った。だが、周冠宇の立場からすると「僕が避けなければ当たっていた」となる。コース外に出たドライバーが「押し出された!」というのは決まり文句であり、特別なことでもない。

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