「非常にアンフェア。バカバカしいペナルティ」角田裕毅の言い分をなぜFIAは聞かないのか...アルファタウリにも落ち度? (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【入賞のチャンスを捨てた?】

 第3戦オーストラリアGPのサインツに対するペナルティ裁定しかり、こうした当事者の証言という「最も重要な証拠のひとつ」を無視した欠席裁判も、最近のスチュワード審議の問題だと言える。レース後にペナルティによる順位変動を忌避するがあまり、レース中に当事者の見解を聞かずに下す裁定が拙速になってはいないだろうか。

 アルファタウリ側にも問題があった。

 このインシデント確認の通知後、37秒でスチュワードは審議を開始している。前述のように通常なら見逃されていたターン1でのこうした押し出しを「審議不要」ではなく「審議対象」としたこの時点で、ペナルティが科される可能性は高かった。ルールに照らし合わせれば、そのドライビング自体は違反であることは確かだったからだ。

 であれば、この時点で周冠宇にポジションを譲って審議を回避し、一旦10位に下がってから再び周冠宇をオーバーテイクし9位を取り戻すことを考えるべきだったかもしれない。

 もしくは、角田にタイヤの限界までプッシュするよう伝え、後方で争ってペースが下がっているピエール・ガスリー(アルピーヌ)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)に対して5秒のギャップを広げて10位を確保するべきだった。

 審議開始から、たったの2分30秒で5秒加算ペナルティの裁定が下されている。そして、何も知らなかった角田は9位でフィニッシュし、5秒加算されて1.886秒差で入賞圏からこぼれ落ちた。

 つまり、ペナルティの可能性があったにもかかわらず、アルファタウリは何もアクションを起こさず、みすみす入賞のチャンスを捨てたことになる。

 とはいえ、終わったことを悔やんでも過去は変えられない。重要なのは、自分たちの何がいけなかったのか、何をどうしていればもっといい結果が得られたのか。それを考え、改善し、成長することだ。

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