ホンダが駆け抜けた7年間の集大成。きっとまたF1に戻ってくる、挑戦はまだ終わらない (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

同点で迎えた最終戦アブダビ

 レッドブルもマシン開発を続け、イギリスGPで縮められた差を再び取り戻そうと必死の戦いを続けた。シーズン後半戦はオランダGP(第13戦)やメキシコシティGP(第18戦)で優位に立ったものの、全体的に見れば劣勢の戦いを強いられた。

 しかし、王者メルセデスAMGもパワーユニットの信頼性不足に苦しめられ、多数のパワーユニットを投入するなどなり振り構わぬ戦いぶりを見せた。レッドブルが王者をここまで追い込んだからこそ、2021年シーズンのレースはどれも息詰まる争いが展開され、F1史上でも稀に見る好レースの連続となった。

 そして、マックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンが同点で迎えた最終戦アブダビGP。

 レース週末を通して優勢なのは、メルセデスAMGとハミルトンのほうだった。予選ではフェルスタッペンがポールポジションを奪い取ったものの、FP3で1セットを消化して決勝に向けたデータ収集まで行なったミディアムタイヤを、予選Q2のアタック2周目で潰してソフトスタートを強いられるという痛恨のミスを犯してしまった。

 決勝はポールからリードして逃げるしか勝つ術(すべ)がなくなったフェルスタッペン。だが、その肝心のスタートでも出遅れ、ハミルトンに先行を許してしまう。ペースもハミルトンのほうが速い。端的に言えば、タイトル獲得は絶望的な状況だった。

 それでも、フェルスタッペンとレッドブル・ホンダはあきらめなかった。フェルスタッペンは差が5秒になろうと10秒になろうと最大限のプッシュを続け、僚友セルジオ・ペレスがボロボロになったタイヤでコース上にとどまってハミルトンを抑え込み、7秒のリードを奪い取る渾身のチームプレーも見せた。

 VSC(バーチャルセーフティカー)が出たところで、2ストップ作戦に切り替えてプレッシャーをかけた。ペレスのプッシュのせいでピットインできなかったハミルトンはタイヤライフをさらに削り取られた。

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