ホンダが駆け抜けた7年間の集大成。きっとまたF1に戻ってくる、挑戦はまだ終わらない (6ページ目)
受け継がれるホンダのDNA
7年前のアブダビで、2日間で5周しか走ることができなかったホンダ。しかしあの時も、ホンダのメンバーたちは一睡もせずに全力で戦いきった。奇しくも同じアブダビで頂点に立ったホンダは、パワーユニットだけでなく、技術者たちも組織も天と地ほどに成長し、飛躍を見せた。ホンダのF1に関わるすべての人が、全力で駆け抜けた7年間だった。
技術だけではない。その努力と成功体験がホンダを成長させ、これからのさらなる成長へとつながっていく。
2018年に浅木が開発責任者の任を負うことを決めた時、第2期でF1を経験した自身がのちにN BOXシリーズやオデッセイなど斬新なアイデアでヒットを飛ばしたように、組織の檻の中でくすぶっている猛獣のような奴を見つけ、檻から出して自由にやらせるのが自分の仕事だと言った。組織の枠にハマらないような人間こそがホンダらしいホンダマンであり、そういう人間が活躍できるからこそホンダはホンダらしくあり続けてきた。
F1はそういう人間を解き放ち成長させる場であり、それがホンダの屋台骨を支えてきた。この第4期F1活動でもこれからのホンダを面白くする猛獣たちが育ち、あちこちへ解き放たれていったはずだ。
「第3期は撤退したあと、F1をやっていた人たちが量産分野に散っていったわけですが、その人たちが量産分野の人たちと交わることでいろんな意味で刺激になって(量産にも)いい効果を生んでいたと思います。そういう意味で、ホンダは昔から『走る実験室』という言い方をして、技術者の教育の場としてきました」
だからきっと、2022年からのレッドブルパワートレインズとの新たな挑戦においても、そしてホンダ自身の新たな分野と世界を切り拓く挑戦においても、F1で育った彼らがすばらしい未来を創り出してくれるはずだ。
そしてきっと、ホンダはまたF1に戻ってきてくれる。田辺テクニカルディレクターは、最後にそっと言った。
「ホンダのDNAやフィロソフィ、レースのなかでの技術者の育成というものは脈々と流れていますから、またいつか挑戦する日がくるんじゃないかと願っています」
ホンダの挑戦は、まだ終わらない。
(完)
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