レッドブル・ホンダ、痛いノーポイント。敗因は「ハミルトンの地元」を侮ったことだ

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 マックス・フェルスタッペンのイギリスGPは、わずか半周で終わった。

 スタート加速でルイス・ハミルトンにサイドバイサイドまで並ばれたフェルスタッペンは、ターン1出口でわずかにランオフエリアにはみ出し、ハミルトンの左フロントが接触しそうになるほどタイトな状況となった。ターン3〜4でインを守ったが立ち上がりは苦しくなり、加速したハミルトンがウェリントンストレートでスリップストリームから前へと出る。

サイドバイサイドのハミルトン(左)とフェルスタッペン(右)サイドバイサイドのハミルトン(左)とフェルスタッペン(右)この記事に関連する写真を見る フェルスタッペンはブルックランズに向けてインを死守すべく、レイトブレーキングで飛び込んでアウトへとはらみながらハミルトンの前を抑えた。しかし、それゆえに続くラフィールドへのアプローチが苦しくなり、ハミルトンは理想的なラインでラフィールドを立ち上がり、フェルスタッペンのスリップストリームからインに並びかけていく。

 そして2台は並んでコプスに飛び込んでいき、ついに接触。約270km/hの速度でフェルスタッペンのマシンはスピンし、タイヤバリアへと突っ込んだ。衝突の瞬間の衝撃は51G。息を呑むような戦慄の瞬間だった。

 ターンインの瞬間、ハミルトンのマシンはほんのわずか後方にいたので、ハミルトンは「完全に並んでいたし、僕のラインだった」と主張。だが、エイペックスに向けて減速していくに従い、最終的にはハミルトンの左フロントタイヤがフェルスタッペンの右リアタイヤに接触した。

 スチュワード(競技会審査委員会)は、ハミルトンのラインがやや外側に膨らんでいたため、後方にいたハミルトンに接触の責任があるとして、10秒加算ペナルティを科した。

 フェルスタッペンは「大丈夫か?」という無線の問いかけにうめき声を上げるだけで、しばらくマシンから降りてこられなかった。しかしその後は自力で脱出し、メディカルセンターで30分間の経過観察をしたあと、ヘリコプターでコベントリー病院に搬送されてCTスキャンなどの予備的検査を受け、身体や脳に問題がないことが確認された。

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